活況を取り戻す丸彦製菓(栃木県日光市)

コロナ明け!! 北関東米菓界の雄の新たな戦略

 5月連休明けにコロナ感染症が、一般のインフルエンザと同じ5類に格下げされ、世界遺産の東照宮や関東有数の温泉地を目指す観光客が増加中だ。日光と鬼怒川・川治の温泉郷への街道の分岐部に位置する同社の巨大な直売所『名水の郷 日光おかき工房』もピークに向け始動中‼

藤色で彩られた丸彦製菓本社と工場。針葉樹林に囲まれ、大型バスも余裕で入る広い敷地に立つ4階建ての1階が『名水の郷 日光おかき工房』

コロナの「トンネル」

 新型コロナ感染が広がる前、2019年の12月1日に、丸彦製菓の3代目社長に就任した山田邦彦氏にとって、初めての試練がコロナ禍だった。コロナ禍3年のトンネルを抜けて、世界遺産の東照宮や鬼怒川・川治の温泉郷など、関東屈指の観光資源を有する日光市に観光客が戻りだしている。これからの夏、観光シーズンへの期待は大きい。

 1927(昭和2)年、栃木県宇都宮市内で、創業者の山田哲蔵氏が焼菓子製造を始めたのが、今日の丸彦製菓のスタートである。1981年に現会長の行彦氏が社長に、2019年に3代目社長の邦彦氏へと経営のバトンが繋がれた。

 うるちともちの総合メーカー丸彦製菓は、その技術と製品力で「北関東の雄」と呼ばれる。米菓に転進したのは、先の東京オリンピック開催の1964年。2代目の行彦社長時代のことだ。

 その後2000年に、宇都宮市内の3つの工場を、現在の日光市芹沼(当時は今市市)に集約して移転。新工場は直売所『名水の郷 日光おかき工房』を併せ持つ「観光工場」として建設された。

観光バスの団体客や近隣のファンを迎える『名水の郷 日光おかき工房』のスタッフと山田邦彦社長(右から3人目)

設備投資と事業拡大

 製品ロゴに『匠の心』を掲げる丸彦製菓は、先取の企業である。業務の近代化でコンピュータシステムを1979年に導入~2008年CO2削減の観点から天然ガス装置設置~2013年太陽光発電装置を工場屋上に設置~2014年包装ラインにロボットシステム導入~2015年日光市手岡にメガソーラー設置(6万3000㎡)~2018年和洋菓子の亀屋菓子本舗を買収後、直売と休憩所を兼ねた『鬼怒川 お菓子の城』をリニューアルして運営開始…。ここ10年の進化、展開のスピードには目を奪われる…

(続きは2023年夏季特大号36頁へ)

『名水の郷 日光おかき工房』の広さは、手焼き体験室などを含め482㎡。売場は342㎡というスケールである。取り扱うアイテムは季節にもよるが約140点。最近では、子会社にした和洋菓子を扱う『鬼怒川 お菓子の城』のケーキ類のコーナーも

ここでしか買えない珍しい製品や、ロングセラー品がうず高く積まれ、購買心を刺激される

正統派の作りで評価の高い丸彦製菓。数々の受賞はその証だ。国産米100%使用に加え、日光連山の名水と技術がその味を支える