心豊かな生活を大前提とした新ビジネスモデル構築を


 「親が亡くなっても、店は営業を休むことはできないし、店から棺を出すこともできないなどという非人間的な商売が、この先何十年も続くと思いますか」と、吐き棄てるかのようなこの発言は、日本フランチャイズチェーン協会の専務理事に転じた、元エリート総合商社マンに、今を時めくコンビニエンスストア事業の今後の展望を伺った時に返ってきた第一声である。そして、東大阪市のセブンイレブンフランチャイジー・オーナーが、人手不足を理由に、契約条件である24時間営業を履行できないとして、本部と物議を醸したのが、大きな社会問題になった時、イの一番に思い出した言葉でもあり、遂に来るべきものがやってきたのだなとの感慨を深くしたものだ。

 コンビニエンスストア事業は、年中無休・24時間営業という日本型ビジネス・モデルを採り入れることで成功を収めたわけだが、そのスタート時点から、システム産業として効率主義と利益確保最優先に徹する必要があり、その前では元商社マンの専務理事が指摘したように、〝人間らしさ〟とか〝心のゆとり〟などといった精神的に豊かな生活を営む上で絶対に必要とされるものが損なわれることのあることが分かっていても、敢えて無視しなければならないという問題を内包していたといえる。

 従って、こうした根本的問題が表面化した以上、単に年中無休・24時間営業の完全履行条件を緩和したり、時間給を引き上げたりしたからと言って、人手不足問題が解消して、コンビニ店舗運営が旧に復するとは思えない。これは、営利事業としてコンビニストア運営を営む事業者の問題であると同時に、地域のインフラとしてコンビニの在り方が地域住民の生活に大きな影響を与える問題でもある。

 今後、衆智を結集して問題解決が図られていくのは間違いないだろうし、そこで新たな日本型ビジネスモデルが示されるのだろうが、それが年中無休・24時間営業を基本にするかどうかは別にして、関与する全ての〝ヒト〟が心豊かな生活を営むことが出来るためのものであることが、大前提として打ち出されていなければならないのは言うまでもない。

2019夏季特大号『巻頭言』より