2023初夏売れ筋特集号 村岡食品工業

「梅」収穫は順調だが絶対量は不足気味

 温暖な春先で今年の梅の成長は順調。若干早めに収穫が始まった。近年梅は不作が続き、昨年は豊作ながら、収穫時に雹害を受けて、収穫量が足りなかった。地元農産品の代表格の一つである梅を1979年に『梅しば』としてお菓子業界に投入し大ヒット。漬物の技術で、一ジャンルを作りあげた同社にとって、今夏は少しながら明るい。。

 「そういう点では有難いのだが、農家の高齢化や人手不足で、弊社が希望する量の確保は難しそうだ」と同社役員。国産梅の不足を補う中国産は、天候不良と円安が重なり、量、価格ともに厳しい。

 こうした背景の中で、同社は昨年まで適宜、商品規格の見直しを行ってきたが、その影響はほとんど無い。国産では賄いきれない『チョロギ』なども、中国産原材料の滞りで、目下の悩みの種だという。農産品を主原料にする同社にとっては、自助努力では解決が難しい課題である。

 一方、県内の伊香保温泉など観光エリアでは、海外からの観光客で賑わいだしている。お土産チャネルの復活に向けた動きも、活性を取り戻しつつある。こうした流れの中、同社では昨年に発売した1粒『梅しば』の好調を受け、干し大根を素材にしたロングセラー『ごんじり』に今夏、携行性の良い食べきりサイズの新シリーズ(写真)を加え、食シーンを広げて、新たな需要の取り込みを狙う。

 「これまで通り、お茶のともとして食べて頂くことはもちろん、手軽な価格とサイズなので、バッグに入れて職場や学校の行き帰りなど、外出先での様ざまなシーンで食べて頂こうと考えた」

 グミやキャンデーなどこのサイズの製品は、携行性の良さから取り扱うチャネルも多い。素材菓子の魅力は、従来の甘系製品の口内に残る〝甘さ〟とは一線を画す塩味が命だ。低カロリーで伝統食の漬物の〝甘酸っぱい塩味〟がベースの同社製品群は、飽きずに長時間楽しめるのもポイントだ。

 漬物の技術をベースに、いつまでも味が抜けない味作りで、ロングセラーの『梅しば』や『ごんじり』、近年は『チョロギ』『玉こんにゃく』等、素材の幅を広げて歩んできた。同社は今夏、新シリーズの『ごんじり』2品で、新たな需要獲得にチャレンジする。