「第2回フードテックジャパン大阪」

食品工場・飲食店の自動化・効率化を実現!

 見本市開催を手掛けるRX Japan㈱は去る3月8日から10日までの3日間、インテックス大阪(大阪府大阪市)において「第2回フードテックジャパン大阪」を開催。同時開催の「第9回インターフェックスWeek大阪」「第9回再生医療EXPO大阪」を合わせ、国内外から約210社が出展。累計1万人を超える業界関係者が来場して盛大に行われた。

 食品工場(製造)・飲食店向けの「フードテックジャパン大阪」では、人手不足や労働環境の改善などといった課題解決に向けた産業ロボット、AIやIоТなどの先端テクノロジーを駆使する50社以上が出展。

 生産ラインの自動化・安定化、食中毒や異物混入などを防ぐ食の安心と安全の確保、食品廃棄物のリサイクルなど、食品産業全体の課題に対する各種提案が行われた。

 一例を挙げると、電子部品メーカー太陽誘電㈱のグループ会社である太陽誘電ケミカルテクノロジー㈱(群馬県高崎市)では、独自に開発した機能性表面処理膜「JCコート™」(写真上)を展開。

 食品製造機械・器具へのコーティング処理により、撥水撥油性・非粘着性を実現して製造現場での生産性の効率化や自動化などを強力にサポートする。具体的には、生産機器に汚れが付きにくくなることで、機器洗浄作業の負担軽減、作業時間の大幅な短縮に寄与するほか、食品原料のロス削減や保守・管理に伴う労働災害の防止、あるいは、用途による脱プラスチックなど、「JCコート™」は単なる効率改善やコスト改善目的だけにとどまらず、食品製造企業におけるSDGs達成に向けた多角的な効果が期待できるものとして採用が増加している。ユーザーからも「スライサー、攪拌翼、成型、型抜きなどの製造装置やフィーダー、包装用カッター刃のほか、計量機、搬送機、包装装置などにコーティング処理することで、作業効率を飛躍的に上げることができた」と同コートの撥水撥油性・非粘着性の高さが評価されている。

 一方、課題であったコーティング可能なパーツサイズは、搬送コンベアのガイドや長尺ローラー、振動フィーダーなど、1400㎜×1350㎜×600㎜の大型サイズにも対応可能となった。

 また、FDA(アメリカ食品薬品局)の食品接触物質としての安全規格に適合されていることにより、国内はもとより、北米・中南米・オセアニア地域をはじめとする海外市場へ展開する準備を整えている。

 飲料・食品メーカー向け“100%リサイクルソリューションをコンセプトとする㈱中部クリーンシステム(愛知県丹羽郡)では、「中部クリーンシステムを選ぶ3つのポイント」(写真左)と題し、①食品・飲料に特化②リサイクル率③環境負荷の低減を提案。

 食品・飲料に特化した理由は、飼料、燃料、堆肥などへの汎用性が高いことにある。小売事業者からの返送品や在庫調整品など、出荷できない最終製品(廃棄物)を一挙に回収し、中身も外装も100%リサイクルするというものだ。

 同社の産業廃棄物の処理工程は、廃棄物の中身と外装を専用機械で粉砕・選別した後、中身の食品・飲料(食品残渣を含む)は飼料化、燃料化、堆肥化などにリサイクルされ、外装のペットボトル、アルミ缶、スチール缶などはマテリアルリサイクルされる。

 また、大型ウィング車による収集回数を制限した廃棄物の回収により、収運費のコストダウン、衛生面の向上、CО2の削減という相乗効果が期待される。

 その他、ゴミ袋や荷崩れ防止用のストレッチフィルムなどの包装資材の廃棄物にあっては、ゴミ袋は再度ゴミ袋に、ストレッチフィルムは再度ストレッチフィルムに再生させる水平マテリアルリサイクルを国内で行う包装資材サーキュラリーソリューションを検討するなど、産業廃棄物の100%リサイクルに取り組んでいる。

 同時開催の「インターフェックスWeek」「再生医療EXPO」では、医薬・化粧品・再生医療の研究から製造工程までの課題を先端テクノロジーで解決することをテーマに130社以上が出展。

 食品業界に直接かかわる包装パッケージでは、ファクトリー・オートメーション(生産工程の自動化)の総合メーカーである㈱キーエンス(大阪市)が包装フィルム用『UVレーザープリンタ FP-1000シリーズ』(写真右)を展開。

 同製品の特長は、従来のサーマルプリンタで使用されるインクリボンではなく、同社開発の「UVレーザー光」を対象物に照射し、その印刷層の発色により印字することである。そのため、対象物の表面状態に左右されることなく、高速ラインに対応した“消えない印字が可能となった。

 また、コスト面についても、インクリボンやプリンターヘッドの交換など、サーマルプリンタだと当たり前に生じていた消耗品コストがゼロになるのが大きな利点である。

 更に、インクリボンを使用しないため、インクリボン交換によるダウンタイムの解消やインクリボン廃棄にかかるCO2排出ゼロに貢献することができるなど、サーマルプリンタとはまったく異次元のプリンタといえる。

 展示ブースでは、同社『UVレーザープリンタ』などを採用した有楽製菓㈱、カンロ㈱、㈱リボンなどの食品メーカーを紹介。いずれも「UVレーザープリンタのすべてに満足している」「今後の包装印字はUVレーザープリンタの時代に変わる」などと高評価を受けている。

 それぞれの会場内では、フードロス対策やAI・ロボット導入、飲食DXなどの最新セミナーを展開し、多数の業界関係者を招いて講演会を開催するなど、大いに盛り上がるうちに閉会した。