「揚げもち」老舗の新時代 根本製菓(水戸)

 茨城県水戸の根本製菓(根本和子社長)といえば、『揚げ吹雪』や『かきもち揚』など、揚げ餅の名品で知られるが、工場敷地内の直売店「巴堂」ではもち製品ばかりでなく、和モダンな包装で人気のギフトや、うるち製品も人気がある。例えば、近年の食傾向を反映したバジルやトマト、ゴボウにサツマイモなど、季節に合わせた素材や味付けで、独特な軽さの煎餅も多種販売している。

 その根本製菓が、この2月から順次発売した揚げおかき『THEおかき』シリーズ3品(3種とも110g入、参考価格300円・税別)は、デザイン、味わいともに新しい切り口を持つ製品だ。

 同社では昨年11月に専務の根本和子氏が、夫の謙二氏から社長のバトンを引き継いでいる。この『THEおかき』は、新体制スタートを象徴する製品として開発された。

 「社員一丸となって会社を盛り立ててもらいたいと思って皆さんの意見や思いを聞いて作りました。デザインは次女で巴堂店長のしのぶが頑張りました」と、和子社長。

 一番の特徴はそのモダンなデザインだ。上部に「巴堂」と大きく暖簾のイラスト。その下に四角い白地に「THEおかき」とある。横書きでシンプル&ダイレクトに主張する商品ロゴは、伝統的な米菓イメージを一新。斬新だが、どこか優しい。生地などの作りには根本ならではの技が光る。きれいなキツネ色の肌色で、素材の風味を活かしたソフトな食感である。

 縦5センチほどの生地を米油で丁寧に揚げて、中央部がぷっくりと割れて花が咲いている。この一口サイズは女性でも食べやすい。国産モチ米100%の生地はサクサク&ホロホロ。非常に口解けがよく、ついつい連食を誘われる作りで、国産米&米油使用の味わいは、同社のこだわりを感じさせる。また、量産メーカーには出せない職人の手技の“塩梅”だろう。

 『塩味』は、ほど良い塩味で米の香ばしさと甘みが楽しめる。『醤油味』ではタレの関係で、生地表面に心地よい歯応えが加わり、濃い目の醤油味を楽しむ作り。若年層が喜ぶ『バター醤油味』は、塩仕立てのベースに、バターのまろやかな香味が添えられている。

 伝統ジャンルのイメージを一新したこの『THEおかき』シリーズは、斬新なデザインで、米菓になじみの薄い若年世代にアプローチしつつ、高齢者から子供まで、幅広い世代に支持されるおかき。根本の新時代を感じさせる作りだ。