越後製菓 2022年度新製品説明会

質・味・利便性…貫く“こだわり”

 “正解は!”の越後製菓(新潟県長岡市)が8月26日午後、2022年度新製品説明会を長岡グランドホテルで開催した。コロナ感染症の第7波が衰えを見せだした中、2021年度の振り返りと、諸コスト高騰という困難な現状を乗りきる施策、新たな価値を付加した新製品を揃えて、越後製菓はメーカーとしてのスピリットを示した。

『新潟の星』は、米処ならではの新潟県産米を使い、越後製菓の技術を尽くした意欲作

コスト環境悪化の中でも…

 説明会冒頭の挨拶で星野一郎会長は「コロナ感染症の第7波のさなかで、弊社でも影響を受けている。既存品の受注殺到で生産も混乱するなか、新製品どころではないとの向きもある。昨今のSDGsではないが、エネルギーや包装資材の高騰や厳しい調達事情の先を見据えて、本日はご提案をさせて頂きます」と、メーカー魂を披歴した。

 ついで、吉原忠彦社長が前期2021年度の振り返りと業績(3月末決算)を説明した。「売上は前年比100.2%の187億7千万円、約4千万円のプラスの着地でした。コロナ禍3年目で、巣ごもり需要の一服から、大幅伸長した包装餅部門が約5億円のマイナスとなったが、『ふんわり名人』シリーズを筆頭に、米菓と米飯の両部門の伸長でカバーできた。私どもメーカーは、お客様に満足して頂ける製品を作り続けることが一番大事。本日はその精神で、新しい提案をさせて頂きます」

 米菓部門は、今年2月の大手メーカーの火災により受注が殺到。どこもこなし切れない状況が今も続く。加えて包材のポリプロピレンの不足と高騰が悩み。通常なら3週間程度で入っていたものが、現在は3カ月以上もかかる。そうした状況下で、でき上がったうるちのミックス製品『新潟の星』3品(写真上、4分包=100g、希望小売価格230円)は、越後らしいこだわりを示す完成度である。

 原料米は全農新潟とコラボして調達する県産うるち米だ。

 「食感、味、ボリューム、クオリティを含め、ライバルの代表製品に負けない」と自信を示す。3品に共通する星型のうるち米の生地は、およそ1センチ。きっちりと焼いて、軽い歯応えを感じさせつつ、素早く溶けていく。2つ3つと連食する中で、米の旨みが重なる作りだ。

越後製菓の顔『ふんわり名人』シリーズ

包材を始め諸原料が高騰する中で、知恵を絞って完成させた米菓、鏡餅、切り餅、米飯の新製品群

越後の“こだわり”が凝縮

 その生地に、醤油ベースの味付けの2種ミックス『新潟の星 たまりざらめ』(たまりしょうゆ、ざらめしょうゆ)、さっぱりサラダ仕立ての3味ミックス『同 えびのりサラダ』(えび、青のり、サラダ)、上記2品の5味に、海苔しょうゆ味を加えた6味入り『同・6種ミックス』の3品が完成した。パッケージは伝統ジャンルの米菓イメージとは趣を変えたインパクトある赤、グリーン、ブルー。製品のシズル写真、新潟平野の地図、稲穂、星のイラストなど、存在感あるデザインである。

 「初めにミックス物として形ができたが、それぞれの味の仕上げ過程で、1味が独立した製品になるくらいになった」結果、3品体制に仕立てたという。「新潟の米ということで全国に売っていきたい」と星野会長。冗談だが、と前置きし、北海道やアメリカからオファーがあれば『北海道の星』や『NYの星』ということもやりたいと、自信を示した。

この3品は今秋、東京首都圏の提携するSMでテスト販売をおこない、来年、年明け以降に正式発売へと進める運びだ。

シェア№1の鏡餅。改良点は開封の簡便化や再生PET採用など

ねんどる岡田ひとみさんが制作する干支キャラクターのウサギとネコ。今回で7年目となり、浸透も深化した“かわいいキャラ”

米菓の看板『ふんわり名人』のきなこと『生一番』が合体『生一番きなこ入り切り餅』

改良のために絞る“知恵”

 鏡餅部門では『かわいいお鏡餅』の干支キャラクターを制作する“ねんどる”岡田ひとみさんが来年の「ウサギ」2種と、招福猫「にゃあ」の新作紹介をおこなった。キャラクター制作は今回で7年目。鏡餅発売イベントや、クローズドの「わくわくお年玉キャンペーン」当選者を招く「ねんど教室」の様子も説明した。

 ベーシックの鏡餅では、業界初のエコマーク取得の同社らしく、環境に配慮したバイオマス容器や再生PET採用の改良面を説明。資源削減では、別途添付していたカレンダー付絵馬を、外装箱に刷り込んで年間24トンの資材を削減できたことや、開封の利便性を向上させた“ペリペリオープン”など、包装資材の高騰を受けての改良は、知恵と工夫の勝利でもある。

 包装餅部門の目玉は、『ふんわり名人』のきなこと『生一番切り餅』という同社の主力同士のコラボ『生一番きなこ入り切り餅』。また、同社の既存品『たっぷり豆餅』の3倍量の黒豆を入れた『贅沢豆もち』は、高タンパク&高食物繊維を謳い、PFCバランスの取れた点で形を変えたプロテインバーともいえそうだ。

 包装米飯部門は、コロナ禍がもたらした自宅療養食などの需要で急伸中のカテゴリー。生産が逼迫する中で、増設をおこない対応する。今回の新製品では「個食」から「多食」の需要変化を受け『ほくほく豆の玄米ごはん3個パック』と、新潟県産コシヒカリ100%『越後のごはんコシヒカリ5個パック』を提案した。

左より・新製品を手に、星野一郎会長、ねんどる岡田ひとみさん、吉原忠彦社長