外松、「信州」ならではのテイストでリニューアル

 長野県飯田市で砂糖など製菓原材料卸と、地元エリアの伝統産業である半生菓子の移出卸として知られる外松。今年3月1日に本家筋の戸田屋(外松健太郎社長)の支援を受け、新生外松として業務を継続することになった。

外松が近年、注力してきたのは、自社企画製品の開発である。今回リニューアルされたロングセラー『しなのミックス』(写真、188g、参考小売価格330円・税別、9月1日から順次発売)もその一環で、アイテムの構成やテイスト、パッケージデザインなどが大きく見直された。

半生菓子業界はじめ、わが国固有の伝統ジャンル共通の課題は、需要者の高齢化。日本の食の変化もあって、若年層の乖離も焦眉の問題である。

同社がこうした若年層の傾向への対策として取り組んだのは、近年では2016年に発売した『味噌シリーズ』である。信州ならではの有名味噌蔵の味噌を素材に、伝統菓子に新たなテイストを加えた。『味噌南京』『味噌パン』に、あるいは『味噌もなか』など、シリーズは注目を集めた。

その2年ほど後には、洋風素材を取り入れた『スタンドシリーズ』を投入。テイストだけでなく、パッケージデザインでも、従来の半生菓子のイメージを一新した。この延長戦にある『おやつ茶屋』(プチ大福6種と和洋6種の2アイテム)は、昨秋、今春に発売して好調だ。とかく量目の多さが重視されてきた業界に、スタンドシリーズとともに一石を投じた〝適量サイズ〟でもある。

今回リニューアルされた『しなのミックス』は、20数年来の〝地味〟なイメージを払拭する新たな設計となっている。

内容は『くるみ餅』『みたらし餅』の餅2種、最中では『餅入りみそ最中』『みたらし餅もなか』の2種に、『味噌パイ』の計5種入りのミックスである。従来は『栗しぐれ』や『塩もなか』など、飯田の半生を代表するベーシックな6種入りだった。

今回のリニューアルの注目点は、味噌と醤油という信州ゆかりの素材を使い、懐かしい〝甘じょっぱさ〟で纏め上げたところだ。パッケージに「味噌と醤油のお菓子」と謳い、やや赤みを帯びた茶系の色調で、5種の中身の断面を見せたシズル写真入り。「食べて味噌(みそ)、おいしさ納得、醤油(しょうゆ)うこと」という、思わず頬が緩むコピーが添えられている。