関口 「秋季東北見本市展示会」

過去最大規模! 東北5支店に熱視線

 広域問屋の関口(栃木県鹿沼市・関口快太郎社長)の東北5支店の秋季展示会が、9月21日にサンフェスタ仙台(仙台市若林区)で開催された。出展116社、製品のみの出展を含め約140社以上が集結。過去最大規模での展示となった。検温やマスク着用など感染防止策を実施しての開催だったが、来場者の人数制限はない。会場には300名以上が来場し、メーカーとの商談や情報交換する姿が会場のあちこちで見られた。

 

写真左より大野周男常務・仙台支店長、関口大二郎専務取締役、関口快太郎社長、清野幹夫相談役、古川雅美取締役・盛岡支店長

 「過去最大の出展数ですよ」と晴れやかな声で胸を張ったのは古川雅美盛岡支店長だ。

 東北5支店が企画や設定を担う、春秋2回の展示会。会場となったサンフェスタ仙台は、3月に開催された展示会と同じ、協同組合卸商センターの敷地内にある600坪のイベントホールだ。通路幅も広く、ゆったりとレイアウトされた会場には、27の関口の提案ブースと、50音順にメーカー各社のブースが並んだ。

 今回は、新型コロナウイルスの感染者数が落ち着いたタイミングで開催されたため、主需要期である秋冬商品に向ける来場者の視線は、春季よりも熱い。

 「まだオンラインの商談もあるが、リアルな商談も増えてきた。以前のような活気が、戻りつつある」と、関口社長も声を弾ませる。

 会場入口に設置された関口の提案コーナーでは、北海道・青森・岩手・山形・福島・新潟の地域ブランドをはじめ、特産品を使ったお菓子が紹介された。東北地方で親しまれている薄い円盤状のかりんとうや、長さが85㎝もある麩菓子など、珍しい菓子の展示もあった。

 季節のイベントにあわせた提案コーナーでは、クリスマスやバレンタイン、ボジョレーなど、それぞれにふさわしいお菓子やおつまみを紹介。「価値ある100円」コーナーでは、物価高や価格高騰を受け、値頃感やお得感を意識したキャンデーやかりんとうなどが紹介された。

 使用する素材に着目した「いちご集めました」「お魚集めました」コーナーでは、DHA・EPAが摂れるとSNSで話題のチップスもあり、健康志向のニーズにあわせた商品を提案。またスポット商品コーナーでは、いかや帆立の実写パッケージが目を引く『活活いかせんべい』(しんぼり)などが展示され、来場者の注目を集めた。

 この他にも、「関口の特選菓子」コーナーでは同社子会社・本橋製菓の『あんドーナツ』をはじめ、『岩下の新生姜ポテトチップス』『宮のたれチップス』など、地元ゆかりのPB商品を展示。好調に推移する1000円前後の「ギフト菓子」や、同社が加盟する「JCC」「全流協」の商品群も充実していた。

 もちろん出展メーカー各社も、売込みを競って展開。秋冬向け新商品の説明に、熱心に耳を傾ける来場者の姿もいつもながらの光景だ。

 今季の会場展示を盛り上げたのが、3台のキャラバンカーだ。『亀田の柿の種』(亀田製菓)のキャラクター「たねっち&ぴーなっち」や、『うまい棒』(やおきん)のキャラクター「うまえもん」、『スーパーBIGチョコ』(リスカ)のPR車が会場に展示。来場者の関心を集めていた。

 また、SDGsという言葉が出る以前から、同社盛岡支店が活動を支援してきたNPO法人ふうどばんく東北AGAINや、(公財)ベルマーク教育助成財団のブースも会場に設置。活動意義をアピールした。

 

きめ細やかに対応、東北に元気を運ぶ

 

 原材料高騰に伴う食品メーカーの値上げが続き、菓子購入の鍵を握る消費者の財布の紐は、一層固くなった。8月の消費者物価指数が2.8%上昇したことに触れながら、従来の消費活動回帰への道のりは厳しいと予測する、関口社長。「消費者の肌感覚では、実質10%以上の値上げに感じているのではないか」と、市況を語った。

 「10月以降、さらに食品の値上げが加速すると、従来の企業戦略だけでは到底乗り切ることができない局面を迎えるだろう。更なる値上げに対する消費者の反応を懸念する企業もあるだろうが、時代にあわせた価格の見直しも必要。適切な価格転嫁により、共に成長していきたい」と、話した。

 長引くコロナ禍だが、卸売業の機能を、人間の「毛細血管」に例える関口社長。「メーカーと小売業をつなぐ卸売業は、人間の体の隅々にまで栄養を与える毛細血管のように、商圏内に暮らすお客様のニーズにあった商品を届ける役割がある。大手の卸売業がやらないこと、できないことをやるのが、私たちの存在意義。東北の隅々まで菓子を届けたい」と、意気込みを語った。

 同社は、80周年時の目標売上を500億円としている。特に近年、同社の売上を牽引するのが東北圏だ。東北6県をカバーする5支店の管轄エリアは広いが、関口ならではのきめ細やかな対応で、着実に売上を伸ばし続けてきただけに、今後の成長を見守りたい。

 「日本全国には、まだ知られてない商品が数多くある。また各支店の営業担当者は、その地域でどんな商品がお客様に支持されるのかを、よく理解している。地域に暮らすお客様が支持する商品を提案できるのが、私たちの強みです」とし、東北5支店がもつ提案力で、目標額の達成を目指す考えを示した。

 他業界と同様に、燃油価格高騰に伴う配送費や人件費等の上昇など、未曾有のコストアップに苦慮する昨今だが、持続可能な社会の実現に向けた取り組みにも積極的だ。

 全社を上げて女性の活躍を推進するほか、DX(デジタル変革)も推進。卸売業は納品書や見積書など、紙文書が今も多く存在するが、ペーパーレス化を進めることで、さらに働き方の見直しにもつなげたいとしている。

 またESG(環境・社会・ガバナンス)への動きとして、配送センターの待機時間や時間指定など、物流システムそのものを、業界全体で今後は見直したいと意欲を示す。

 今季の会場入口には、同社の今年のテーマである「超」の文字が大きく描かれたパネルが展示された。「創業71年。過去最高の売上を超えるためには、私たち一人ひとりが、これまでの壁を越える必要がある」と、漢字に込めた思いを関口社長は語った。

 ポストコロナを見据え、「運ぶ力」で東北を元気にする同社の存在感の高まりを感じさせた。