香料食品技術アカデミー 香りのスペシャリストを養成する国内最高峰の機関

 同校は香り専門の研究所。人間の五感と密接につながる香りのメカニズムはいまだ解明されていない部分が多いが、アカデミーは高い水準で「香りの深い世界」を探究する。代表の角田一氏はロッテ出身。入社早々、創業者の重光武雄氏より直接、本格的なガムづくりに着手するよう命じられる。角田氏は「必死の思い」で美味しさの素となる天然香料やガムベースを徹底的に研究し尽くす。

 1957(昭和32)年、同氏の研究成果は『グリーンガム』となって結実する。その美味しさは当時、世界で最も売れていた米国『リグレーガム』の首脳陣が「我々を凌駕している」とまで言わせたという。ガム事業の成功はロッテが国内お菓子のトップメーカーへと成長飛躍させる礎となった。

 アカデミーの事業内容は多岐にわたるが、中心はお菓子や食品業界のフレーバー部門に香りのスペシャリストを送り出すことにある。香料製造技術や香料全般にわたるコンサルティング、香料技術者の育成を高い水準で進めている。また同氏が運営し、学院長を務める日本フレーバー&フレグランス学院は、若い世代の香りの人材を養成する機関。国内からはもとより、韓国などの海外から毎年多くの留学生が学びにやってくる。

 香りの調香ノウハウを知り尽くす同氏の貴重な研究成果と経験を学ぼうと、多くのお菓子メーカーが自主的な研修を実施している。特に製品開発担当者たちは、今も同氏のもとを訪れて密かに「味替え」に相談に来るのだそうだ。