食品産業系展示会初スタートアップゾーンから 国際食品工業展『FOOMA JAPAN2022』 アルガルバイオ/エコロギー

次世代食品産業に向けた試み

 『Restart FOOMA』をテーマに先ごろ3年ぶりに東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催された国際食品工業展『FOOMA JAPAN2022』。今回から優れた機械を顕彰する『FOOMA AWARD』の創設をはじめ、『FOOMA アプリ』の導入など、アジア最大級から世界一の食品製造総合展をめざしたプロジェクトが始動した。なかでも注目の『スタートアップゾーン』は食品産業系展示会としては初の試みとなる。フードソリューション革命として次世代の食品産業を志す2社にスポットを当ててみた。

 スタートアップゾーンの出展対象となるのは、自らが開発・企画に携わり、革新的な製品・技術・サービスを保有し、次世代産業を目指している国内の企業・団体・機関、ベンチャー・スタートアップ企業、大学・研究機関など。設立9年以内の企業であることが条件だ(商社や卸売業、小売業は対象外)。初回となる今回は18社が出展した。

 なかでもバイオテクノロジー最後の領域といわれる藻類の研究開発で、「消費」型社会から「循環・共生」型社会への転換をめざす東京大学発の『アルガルバイオ』は、世界初の藻類開発プラットホームを構築し、技術提供を行う共同開発モデルを軸としている。

 代表取締役社長CEOの木村周氏(写真)は、「東京大学での20年以上に亘る研究成果をベースに、マーケットイン型のビジネスモデルを展開することで社会課題を解決し、人々と地球の未来に貢献したい」と話す。

 同社が取り組む領域は、Wellness=健康、Food Crisis=食糧、Circular Economy=環境の3つである。現在は健康領域主体で、食糧は2~3年後、環境は5年後くらいの実現を目指している。数年前から研究開発している機能性食品を、2023年くらいに製品化予定とのことだ。

 FOOMA JAPAN2022では、取り扱う藻のバラエティ豊富な色素が注目された。藻の培養は熱や撹拌性によって色彩のコントロールが難しいとされるが、同社は長年の研究資産を活かし、色彩コントロールの特許を取得している。このあたりの技術は、機能性を含めてお菓子の色付けにも応用できそうだ。

 サステナブルなタンパク源として注目される昆虫食。なかでもコオロギは栄養素や繁殖力が高いことから、さまざまなスタートアップが取り扱いを始めている。

 しかし一般に普及させるには、虫という先入観から敬遠されることや、養殖には一定の条件が必要で、そのあたりが課題になると早稲田大学発の『エコロギー』COOの池田健介氏(写真)は語る。

 そうした課題に対し同社は、「美味しさ」と「カンボジアでの養殖」という手段で解決を試みている。

 出展時にコオロギの原料を使った豆やラーメン、餃子を試食してもらったところ、食べる前は抵抗感を示した人も多かったが、3人に2人が美味しいという結果に。その美味しさのポイントになっているのが加水分解による加工技術だという。しかも市場の半分くらいという低価格も実現している。

 低コストなのはカンボジアで養殖しているからだ。カンボジアはコオロギの養殖に適した気候であり、人件費も抑えながら地域の経済にも貢献できるというメリットも生んでいる。

 春日井製菓などこれまでさまざまなメーカーと商品開発を展開しているが、出展後いくつかの商談も進んだという。その7割はお菓子メーカーだ。美味しさがポイントになるだけに、食品メーカーとのコラボをさらに進めたいと池田氏は話す。