食と健康の総合カンパニーを目指す三幸製菓のチャレンジ‼

 米菓大手の三幸製菓が、健康訴求系のバータイプ食品『MOCHIVATOR』を、9月27日からテスト販売を開始した。佐藤元保CEOが示した「未来のお菓子」の具現化であり新たな挑戦だ。

『MOCHIVATOR』を手に、開発担当の竹之内大輔課長(マーケティング部製品開発2課)。足掛け2年のプロジェクトで完成させた

総合メーカーへの道

 

 かりん糖ジャンルに参入から10年目。三幸製菓が今秋、間食と健康訴求のバータイプ食品市場に向けた『MOCHIVATOR』3品(写真)を開発。CVS、SM、DgS の各業態の一部店舗で、9月27日からテスト販売を開始した。昨春4月に新たなスタートを切った同社の初の大型プロジェクトである。

 プロジェクトのスタートは2年前に遡る。

 「当時、会社の新体制作りのなかで“食と健康の総合カンパニーを目指すとの方針が固まり、佐藤元保現CEOから、そのための新たなカテゴリーへのチャレンジを指示された」と語るのは、竹之内大輔課長。マーケティング部製品開発2課の課長である。

 三幸製菓に相応しい分野として、様々に検討され、バー製品”に焦点を絞り込んだプロジェクトチームが結成されたのは昨夏8月だった。

 国内マーケットは約500億円規模。しかし海外に目を転じれば、例えばアメリカでは8000億円の規模。そこに可能性を見出したのだ。まずは市場分析。製品の具現化に必要な要素を探った。バー製品のカテゴリーは、近年プロテイン物が登場し、ヒット商品も生まれた。その市場に参入するには三幸らしい製品特性が必要だ。

 「その頃、佐藤CEOから“未来のお菓子を作りたい、との示唆を頂いて筋が通った」という。既成概念に捕われない製品作りの試行が始まった。

 『MOCHIVATOR』の特徴はモチ生地。米菓メーカーならではの、米の長所を活かした生地は、モチモチとして腹持ちが良い。市場分析で浮かんだユーザーが感じる一番のネガティブ要素は、食べていてポロポロこぼれる、口が乾くという点だった。それをモチ生地はクリアーし、ビスケットやシリアル系主流のなかで、差別化のポイントにもなった。食べてモチベーションもあがる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『MOCHIVATOR』は、包装紙の上部を開いて、トレーごと引き出して食べる。手を触れないので衛生的。また、トレー中央の凹部で折り曲げると食べやすい

三幸らしさと美味しさ

 

 この新奇性は三幸らしさの具現化だろう。テスト販売の依頼時に大きな驚き”をもって受け止められた。ほどよい歯応えが与える満足感と、腹もちの良さも好感された。また、近年のバー製品がプロテイン主流の中、『MOCHIVATOR』はアントシアニン、GABA、カフェインを加えた点も独自性を発揮する。

 「健康要素も大事だが、弊社としては美味しさでも勝負した。3品の異なるベースの味、それぞれに練りこんだ素材、食感、食べ応えを合わせ持つエナジーチャージ力が『MOCHIVATOR』の“核だ」

 このコンセプトが固まったのが、チームのスタートから3カ月後。そこからの難関がモチモチ食感の日保ち”と心地よい食感の両立だった。

 「堅さはクラッシュアーモンドなど、練りこむ素材でカバーできたが、日保ちの部分を解決する求肥製造のラインが弊社にはなかった。それをクリアーできたのは、製造パートナーであるアダチ製菓(岐阜県各務原市)の技術」だった。

 完成した『MOCHIVATOR』のターゲットは、30代から50代。ストレスが多いビジネスパーソンの間食という切り口で浸透を図る、と竹之内氏は自信を滲ませる。

 食と健康の総合カンパニーを目指す!との新方針を受けて完成した『MOCHIVATOR』3品。米菓メーカーならではのモチ生地という点が新しい。先行製品を研究し、消費者が感じていたネガティブ要素を解消。おいしく食べて、腹持ちが良く、かつ健康性も担保された〝三幸流〟の新奇性に溢れる製品である。

 右からブドウ糖とアントシアニン3㎎を付与した『ブルーベリー』(各40g、NPP=参考小売価格150円)、ブドウ糖とGABA32㎎の『ココア&アーモンド』、ブドウ糖とカフェイン66㎎の『コーヒー&アーモンド』。製品名の由来は、モチ生地の「モチモチ食感」と、食べて元気が出る「モチベーションUP」の合成