かきもちの木村が新たなチャレンジ!

 一般的に米菓で括られるもちとうるちだが、原料のもち米の価格や乾燥工程などの手間で、うるちに比べて割高になるおかきやあられ。メーカーにとって、そのコストが価格に反映できにくいのが泣き所である。

 かきもち専業の木村(宇都宮市・木村圭一社長)が、秋冬向けに9月から順次発売中の新製品2品が好調だ。

 原料と手間のかかるもち製品は、とかく価格訴求への圧力が高い店頭では、手ごろ価格に寄せれば量目が入らず、うるち製品に比して見た目も小ぶりになりがちだ。そこを、同社は個装化とパッケージで工夫。また、看板のかきもちでは、生地サイズを見直す挑戦も実施した。

 国産もち米100%使用の『mochi-no-ko(もちのこ)』(115g、参考小売価格300円・税別)は、看板製品の3分の1サイズの可愛いあられミックス。「弊社の製品に対する子育て世代の女性たちの意見を反映した」製品で、木村の伝家のあられが、若い女性たちには〝堅い〟〝子どもが食べるには少し大きい〟という声に応えたものである。

当世はソフト物が主流だが、木村本来の生地で軽い仕上げにしようとすれば、モロさが出て歩留まりが悪くなった。そこで、小さい抜型に工夫して、ソフトさと歩留まりの良さを両立させることに成功したのである。試作品の試食会で「軽くて、食べやすくし、個装だから手が汚れなくて衛生的」などの好評を得て製品化へと前進した。

改良された生地は縦45ミリほど。見た目も可愛らしい。内容はたまり醤油ベースのえびと胡麻、サラダ仕上げの海苔の3味ミックス。醤油味の2品はそれぞれタレを変えるなど、老舗らしいこだわりも見せる。長年のファンが付いているロングセラーの生地の変更は、ともすれば冒険だが、同社の発想に新しい方向性を与える挑戦にもなったようだ。

『つまみ餅』(85g、同250円)も国産もち米100%使用。見た目は綱あられのように、ひねりの入った一口サイズのスティック。味付けはたまり醤油に塩麴の旨みを合わせたまろやかな仕上げだ。同様サイズでは揚げもちの『ときわ』があるが、ひねりを加えることで、心地よい歯ごたえを持たせつつ、浮きを実現した当世向きの食感になった。先の『mochi-no-ko』同様、子育て世代や次世代の米菓ファンに向けた製品。おやつ&おつまみ好適品だ。

2品共通のもう一つの特徴はそのサイズ感だ。内容量は115g、85gだが、徳用袋並みの天地のスリム型左右を詰めたことから、袋に厚みがあり、手持ちは軽いが、お得感が感じられる製品である。