物流費の高騰や商社系の大手資本による寡占化が進むなど、内憂外患の中で、地場の中小菓子問屋の地盤沈下が言われて久しい。それは多様さを強みとしてきた我が国菓子業界の脆弱化をもたらす危険性を孕む。現状のさまざまな課題を浮き彫りにし、その解決策を探るとともに、新しい時代に即した菓子問屋の役割を考えてみたい。そこで業界に新しい風を吹き込もうと2017年に設立したグローカル・ユナイテッド(GU)の高木邦光社長に登場いただき、これまでの成果と今後の展望をきく(全3回)。
地場問屋本来のチカラを取り戻す!
グローバルな視点でローカルとして戦う
――GU社についてはこれまで何度も紙面で取り上げてきましたが、改めて設立に至るまでの経緯をお聞かせください。
高木 流通経路において生産者(メーカー)と小売業者の橋渡しをするのが問屋(卸売業者)の基本機能です。その中で私たちのような菓子問屋は「需要を創造して、プロデューするチカラ」によって、独自の発展を遂げてきたわけです。しかし流通系の短縮化が進んだ現在、菓子問屋そのものの存在意義が薄らぎ、その機能と役割も問われ始めています。
もっと言うと、商社系大手資本の問屋の寡占化がますます顕著になり、地域で長年営んできた中小規模の問屋が、まさに弱肉強食の危機に瀕しています。茨城県を本拠とする丸高商会を経営しながら「このままではダメだ。何とかしないと」という強い危機感をずっと抱えていました。そうした中で、私と同じ危機感を抱いていたのが秋田県を地盤とするサクラバの桜庭辰也社長でした。
彼とは30年近い付き合いですし、その当時からお互いのめざす方向性や志は共感しあうものがありました。10年ほど前に主要なお得意先の経営塾に一緒に参加した時に、その内容に2人で衝撃を受けました。まさに「目から鱗…」いや、「神の啓示」をたくさんいただきました。そこで学んだことも、2社の経営統合に大きく影響しています。
――グローカル・ユナイテッドという名称そのものが会社の理念を体現しているようですね。
高木 グローバルな視点と知識を持ちながらなおかつローカルな視点で戦うこと。そして、少しでも多く同じ思いを抱える共通の仲間や同志を募り、その連携の力により商社系大手卸とはまた別の存在感を持ちたいとの思い。力を持ち寄って新しい問屋の形と時代を築いていく。その心意気を表しています。GUがその橋頭保としての役割を果たすことができれば一番良いと考えています。
中小企業のままで良いわけがない!
――GU設立に至るまでの思いとは。
高木 菓子問屋といえども、真面目にコツコツと商売に励めばちゃんと儲かる、未来に希望が持てる、そのようにしたいからです。会社経営者として私は二代目ですが、至らないながらも父の背中を見て育ってきましたし、その恩恵で生活の糧をもらってきたのです。
二代目は創業の苦労を知りません。潰そうと思えば簡単です。しかし、菓子問屋が人々の暮らしを支える社会インフラであることの誇りが私にはあります。ましてや従業員の生活を何としても守らなくてはいけません。私の使命は会社を継続させて次代に繋いでいくことです。しかし、ここが肝心なところで、中小企業のままで満足していてはダメなんです。
[次号へ続く]