トップインタビュー 村岡食品工業株式会社 代表取締役社長 村岡優年氏 連載1(全2回)

過渡期を迎え変革迫られる

 漬け物屋に端を発する村岡食品工業は、日本人には欠かせない漬け物のスキルを駆使し、農産物を加工して食品化した『梅しば』を1985年に発売。「漬物スナック」というお菓子業界に新たなカテゴリーをつくったイノベーターだ。他方、昨今はコロナ禍によるお土産需要の減少をはじめ、原材料の供給量不足・高騰などの課題を抱える。そのあたりについて、同社の4代目となる若きリーダー村岡優年社長に話を聞いてみた。

 本紙 今年の10月で村岡社長は就任6年目を迎えます。若きリーダーとしての立場から御社の課題やこれからのテーマを聞かせてください。まずは原材料の梅についていろいろな懸念材料がありそうですが、いかがですか。

 村岡 弊社の主製品の原材料の梅などで顕著だが、わが国では農家の高齢化が進んで、なかなか人手で捌ける時代ではなくなってきていると感じている。特にこの5、6年でその傾向が加速している。2019年は収獲寸前に梅が雹害に見舞われ、全体の8割が落ちてしまうという不良の年であったが、それに比べると今年はそこまでではなかった。しかし、こちらが求めている量はなかなか集まらないのが現状。結局それは、農家の人手不足が影響していると考えられる。今後もこの状況が続くとみている。

 ―― 梅の原材料不足については、自粛生活が続く中で梅酒を漬けるなど、一般小売の需要が増えたことも影響していると考えられますね。

 村岡 昨年は特にそうだったと思う。和歌山の梅があまりよくない状況で市場に出なかった分、群馬の梅がそちらにまわってしまった印象がある。

農家の高齢化、原材料にも影響

 ―― 収穫するのも、普通の農作物は地面に植わっていますが、梅は木になるから年配の方だと大変でしょうね。

 村岡 群馬はまだいい。和歌山のように急斜面ではなく、比較的平地での栽培だから。ただ、和歌山では落ちてくる完熟の梅を拾うのに対し、群馬は熟す前の手もぎが基本だから、その点は苦労も多い。今の農家の平均年齢は70歳を超えている。梅農家では、後継者の若手も出てはきたものの、短期間の収穫作業に必要な手を集められない状況だ。今年見て思ったのは、我々のような購入する側が、何らかの妥協点を探ることも必要ではないかということ。

 今後の案として、梅の木を揺らして実を落とす振動機を使った収獲であれば、農家の負担も軽減することができると考えている。あとは落下の衝撃による損傷などのクオリティの課題を、メーカー側がどう受け止めるかだ。落としたものでも選別する点は変わらない。こちらはいい梅を持ってきていただければそれでかまわない。10年、20年前の常識をそのまま続けていいのか。いろいろな意味で過渡期を迎えている。

 ―― 以前村岡社長は“農家を回ること”をテーマにするとおっしゃっていましたね。

 村岡 あれからずっと仕入れをやっているので、状況がよくわかる。基本は手もぎでやってきたが、これからのことも考えなくてはいけないと。

 ―― 原材料の確保や農家の高齢化の問題など、大きな転換点に来ているということですね。以前のままでは存続がむずかしいと。他方、国産の梅の絶対量が需要に追いついてない部分を補ってきたのが中国産の梅です。

 村岡 中国産の梅に関しては、いわゆる米や小麦などの扱いと比べると絶対量はそれほどではない。もちろん、収獲などについての状況は逐一チェックしているが、心配しているのは物流。中国のコロナ対応では都市閉鎖もあるからだ。(続く)

☆プロフィール

1971年生まれ 2001年イースタンワシントン大学卒業 同年9月キユーピー醸造株式会社入社 2004年9月村岡食品工業株式会社入社 2015年10月代表取締役社長に就任