ぼんち、創業90周年に新たな戦略製品を投入

 昭和6(1931)年、東京で中央軒として創業して90年を迎えた同社が、今秋、需要期に向け4種6品を投入した。

 社名にもなっている揚げせんの『ぼんち揚』が発売60周年を迎えたのが昨年。このたび老舗メーカーが発売した新製品は、それぞれがくっきりとした個性を持ち、90年の節目から100年に向かう新たな意気込みが感じられる。

8月30日発売の『4パック 香ばし豆あられ』(76g、参考小売価格220円)は、国産もち米メインにアメリカ産を加えたミックス生地に、細かく砕いた北海道産大豆を練りこみ、入念に煎りあげた小粒あられ。限界まで火入れされた生地から、もち米と大豆の香ばしい風味が口内に溢れる。あられの醍醐味だ。表面はカリッ、サクサクした食感は懐かしいかきもちを思い起こさせる。この『豆あられ』の発売に合わせ「焼あられ」シリーズの『ほりほり焼』『マヨネーズあられ』もデザインが一新された。

揚げせんとピーナッツを合わせた『4パック ほっと旨辛 おつまみ揚げ』(90g、同220円)は、おつまみ需要を視野に、濃厚プラス旨辛がポイントのアイテム。揚げせんの顔はやや黒くいかにも濃厚。その醤油と油の味わいに、青と赤の唐辛子の刺激がアクセントになり、ついつい連食をそそられてお酒が進みそうだ。大粒のピーナッツはその合間の口直しの緩衝材だ。

チャック付きザク詰めの「やみつき米香(べいか)」シリーズの3品『やわらか揚もち』(140g、同300円・以下同)、『黒胡椒せんべい』(100g)、『つぶつぶ黄金煎』(130g)は、国産米100%使用のこだわり製品だ。価格もアッパーな300円だが、米の香りや味わいだけでなく、それぞれクッキリとした個性をもっている。『やわらか揚もち』は、国産水稲もち米100%使用の正統派。たまり醤油の濃厚だが甘さも感じる、まろやかでソフトな仕上がり。『黒胡椒せんべい』は粗めに挽いたザクザク食感の生地が特徴。そこに強い黒胡椒。スタンプミル製法による辛味と風味が強烈だ。『つぶつぶ黄金煎』は、米粒を残した生地の、頭蓋に響くバリバリ食感が心地よいせんべい。鰹と昆布の合わせだしを効かせた濃厚な醤油だれの旨みとコクもこだわり。

9月6日発売の『10枚味かるた 海老しお』(同330円)は、天然エビを生地に練りこみ、そのリッチな味わいを活かした大判揚げせん。伯方の塩をベースに、鰹と昆布の天然だしの旨みが効いた塩だれで仕上げてある。ベーシックアイテムの『味かるた』は、アカシア蜂蜜を使った揚げせんの上級製品として昭和62(1987)年に発売されたロングセラー。少し小ぶりな大丸サイズで、揚げせん特有の曲がりがなく、平らな仕上がりが「かるた」に似ているところからの命名だ。

新製品の『海老しお』は、商談段階から評判がよく、本格スタートに期待がかかる。先口はやや塩味が先行するが、やがて厚い生地のうまみと調和して、大判ならではのリッチな満足感が醸される作りだ。