ビジネス最前線 ㈱中部クリーンシステム (後編)

未来に向けた「循環」への架け橋

 廃棄物の処理過程を“見える化”するなど、独自の取り組みにより廃棄物排出元企業から高い信頼を得ている中部クリーンシステム(愛知県丹羽郡)。前編に続き、佐藤昌永社長(写真)に新リサイクルセンターの概要やお菓子・飲料・食品メーカーに対する同社メッセージなどを訊いた。

 本紙 食品廃棄物専門のリサイクルセンターを新設したそうですが?

 佐藤 丹羽郡大口町の工業団地内に新設した中部エコ・フードセンターです。食品類廃棄物に特化したもので、一日の処理能力は125tの規模になります。建物は既に完成しており、6月1日から本格的に操業する予定で、現在は試運転を行っている最中です。この中部エコ・フードセンターの特徴といえるのは、お菓子などの食品ですとプラスチックや紙などの包装類、飲料ですとビン・缶・ペットボトルなどの容器に入ったまま、廃棄処理しながら新たな資源に循環できる機能を有していることです。勿論、人の目で確認しながら手作業で処理する作業もあります。   

 本紙 パッケージされ た状態の食品をどのような工程で廃棄処理するのですか?

 佐藤 排出元企業から中部エコ・フードセンターに運搬した廃棄食品を、そのままの状態で分別機のホッパーに投入するとベルトコンベアーで磁選機に運ばれます。ここで容器類を金属・非金属に選別した後、それぞれ分類して集積されます。中身の廃棄食品は、ブロアーで選別・粉砕した後、粉状にして集積されるシステムになっています。乳飲料やジュース、コーヒーなどの液体物についても、容器を金属・非金属に分類した後、中身の液体だけを集積します。このような選別や粉砕等といった中間処理を行った後、飼料などのリサイクル資源へと循環させるのです。一方、残渣や残液が付着したビニール袋などは、圧縮梱包して発電燃料に再利用されます。最終的に焼却処分される廃棄物は極少量で済みますので、地球環境に優しい廃棄業務になるのです。

中部エコ・フードセンター内の食品分別機

サスティナブルカンパニーの指針

 本紙 前編でも触れた産業廃棄物処理業者の不祥事ですが、「排出元企業自身が排出した廃棄物に関心がなかった」ということもその一因ではなかったのでしょうか?

 佐藤 産業廃棄物処理業者としては、排出元企業に責任転嫁することはできません。私ども中部クリーンシステムでは“①コンプライアンスの順守 ②透明性を持った取引 ③公正且つ適正な情報公開 ④社会貢献から生まれる地域との共生 ⑤安心と信頼をもとにしたサスティナブルカンパニー”を企業指針としています。廃棄物の搬送から廃棄処理までの経過を防犯カメラの映像や書面という形で排出元企業に報告するなど廃棄業務の見える化に努めることで、排出元企業に信頼されるビジネスを展開しています。“サスティナブルカンパニー”持続可能な企業を目指すため、自らが襟を正し、企業存続を危うくする不祥事を起こしてはならないと考えています。

 本紙 最後に、お菓子をはじめとする食品メーカーに向けてメッセージをお願いします。

 佐藤 私どもの強みは、地球環境に有効な循環型の食品廃棄処理、つまり廃棄物を暮らしの資源にリサイクルする技術にあります。現在は中部・関西エリアの荷物を中心に食品循環のご提案をしておりますが、本年、埼玉県の認可を受け、関東エリアの廃棄物を処理できるようになりましたので、これを機に、関東圏内のお菓子や食品メーカー様と手を取り合い、賞味期限切れ製品や余剰在庫製品などの課題をともに解消し、未来に向けた循環社会への架け橋になれることを願っています。(完)

 

【(株)中部クリーンシステム】

愛知県丹羽郡扶桑町大字南山名字名護根15‐1

TEL:0587-92-3807

 http://ccs-recycle.co.jp