業界トピックス DM三井製糖ホールディングス(前編)

変化を恐れず進化し続ける

 三井製糖と大日本明治製糖が経営統合して発足したDM三井製糖ホールディングス(HD)は4月1日、新たなスタートを切った。積極的に“糖のチカラ”を発信し続けてきた同社。これからどう変わっていくのだろうか。

 業界1位と2位グループの経営統合になり、シェアは40%近くに膨らむ。これまで両社が培ってきた生産技術、品質やコスト管理手法、物流・原料調達をはじめとする広範な経営ノウハウを結集し、安定的な国内供給体制をより強固なものにすると同時に、国際競争力を強化していくことを目指す。

 両社とも砂糖をベースとした歴史ある会社で、本質的に共通する部分が多いが、統合による相乗効果をどう発揮していくのか、注目が集まっている。

 時代の変遷を捉えながら、DM三井製糖HDはこれまでに幅広い製品を展開してきた。上白糖やグラニュ糖、三温糖をはじめ、ブラウンシュガー、沖縄産黒砂糖、スティックシュガー、角砂糖、オリゴ糖入りシロップ、レモンシュガー、コーヒーシュガー、氷砂糖、粉砂糖・顆粒砂糖、機能性甘味料『パラチノース』、機能性表示食品『スローカロリーシュガー』などがそれだ。

 砂糖は身体によくないという誤解や偏見が広まってしまっているが、実際には健康のために、糖は必要不可欠なもの。昨今は「甘い」だけでなく、機能性も求められている。そのターゲットは乳幼児から高齢者まで、使用シーンは勉強やスポーツなど、幅広い。

 コロナ禍では、ミネラル分が豊富なブラウンシュガーや低カロリーの甘味料が健康に良いというイメージもあって、欠品になるほどの売行きだったという。家で料理やお菓子を作る人が増え、より拘った素材選びの一つとしてブラウンシュガーが支持され、初めて使ってみたという人も増えた。同社の製品は「国産」を謳っており、それが消費者の安心感にも繋がった。

 パッケージも大きく変えた。3年ほど前から上白糖と三温糖でスタンドパックをラインアップ。袋タイプは保存容器に移し替える手間が掛かるが、同パックはチャック付きなので、そのまま保存できる。内容量は袋タイプより100g少ない400gだが、売行きは好調だという。消費者の潜在的なニーズを掘り起こしたと言えよう。スタンドパックはその後、グラニュ糖や中ザラ糖にも広げていった。

 この4月からは、さらに便利なワンハンドタイプが登場。『サッと使える砂糖ボトル』(写真、260g・OP)を4月1日に発売した。ハンディタイプのボトル入りブラウンシュガーで、片手で好みの分量を振り出して使える。

 発売前の前評判も上々で、今後の売行き次第では他の製品に広げたり、詰替えタイプの投入も考えているという。

 この春の新製品は、他にもスティックタイプのブラウンシュガー、環境に配慮したパッケージを採用した『国産てん菜糖』がある。

 「砂糖業界は他の食品業界からみると変化が少なく、商品の数も少ないが、それだけに我々が努力すれば様々な変化が出てくる。恐れずにやっていきたい」と同社。リーディングカンパニーであり続けるためには、進化を止めるわけにはいかない。      

(次号へ続く)