「新・製品開発」のコンセプト 「スナック」を新しい食の選択肢に 湖池屋

『ハッシュドポテト』『ポテトと料理』 ①

 インターネット市場調査会社のマイボイスコムが、先ごろ4回目となる「お菓子メーカーのイメージ」に関する調査を実施したところ、「独自性があると思うお菓子メーカー」のトップに『湖池屋』が躍り出た。同社は2012年実施の第1回の調査から6.3ポイント増加し、2位以下のメーカーを大きく引き離す結果となった。その背景のひとつとして考えられるのが、昨年秋に同社が打ち出した『ニューノーマルおやつ』戦略だ。そのコンセプトはいかなるものか、新製品2種を軸に、同社マーケティング部の新井美彩次長に聞いてみた。(全4回)

マーケティング本部 マーケティング部 第2課 新井美彩次長

『スナックの再定義』テーマに

 

 本紙 先ごろ『ポテトと料理』とリニューアルした『ハッシュドポテト』を発売しました。これらは『ニューノーマルおやつ』戦略を具現化した製品ですね。まずはその背景についてお聞かせください。

 新井 2016年に佐藤章が社長に就任したのを機に、新しい試みのひとつとして『スナックの再定義』というテーマを掲げました。

 湖池屋は「ポテトチップスを作っているスナック菓子メーカー」というようにお客様に受け取っていただいていると思いますが、「スナック」という言葉を辞書で引くと「軽食」という意味もあります。

 そう考えた時に3時のおやつの選択肢を提供するだけが弊社の使命ではなく、もう少しその言葉を広義に捉えて、新しい食の選択肢になりえるようなものも作って良いのではないかということで、新たな取り組みを始めたんです。

 ――コロナ禍になる前から『スナックの再定義』に取り組んでいたわけですね。それが『ニューノーマルおやつ』に繋がると。

 新井 はい。あるアンケート調査によると、コロナ禍になってから購入回数が増えた食品のジャンルの1位が菓子類でした。その中でも何がいちばん増えたかというと、スナック菓子でした。また違うデータでは間食を含めた1日の食事の回数が4回以上と答えた人が過半数を超えています。

 1回のランチにかける時間も年々減ってきています。直近では、30分を切ると答えている人が、女性5割、男性だと7割にもなります。

 お腹がすく時間については、大きく3つの山ができます。10時、15~16時、22~23時のところです。つまりいつでもお腹がすいている状態なわけです。私たちはこれを「乱食化」「分食化」と言っています。

 そういう傾向があるなかで、料理のような素材感や本格感がありつつ、スナックのように手軽に食べられる新しい食の選択肢があったら、というところで開発を始めたのが、『ニューノーマルおやつ』製品です。

 ――原点を見つめ直すことと生活様式の変化のタイミングが重なったんですね。ところで菓子類の中でもスナック菓子がいちばん購入されているとのことですが、メーカーとして実感はありますか?

 新井 高付加価値型のブランドが軒並み伸長しています。『湖池屋プライドポテト』や『じゃがいも心地』、『湖池屋ストロング』が、おかげさまで好調です。

 皆さん慣れないリモートワークや自粛生活が続いてストレスが溜まりますよね。そういう時に自分にご褒美じゃないですが、普段より良いモノを食べたいという気分が高まったり、ちょっと味の濃いものをバリバリと食べたいって思うときもあるようです。

 ――なるほど、時代の空気感と製品が提供している情緒価値みたいなところがうまくハマったわけですね。     

(次号へ続く)