ビジネス最前線 ㈱中部クリーンシステム

未来のために 廃棄ゼロの世界へ 前編

 産業廃棄物処理事業者でありながら「廃棄ゼロ」を目指す中部クリーンシステム(愛知県丹羽郡)。東海地区を中心に全12府県を産業廃棄物収集運搬エリアとする同社の佐藤昌永社長に、需要が高まる食品廃棄物処理業務の概要や独自の食品廃棄物処理システムによる廃棄物循環型社会への取り組みなどを訊いた。

佐藤社長

 本紙 はじめに、中部クリーンシステムの社歴などを教えてください。

 佐藤 母親が㈲ハイクリーン大栄という飲食店などを取引先とする一般廃棄物収集運搬業を経営しておりました。平成12年に産業廃棄物処分業の認可を受け、企業相手の産廃業務を展開するようになったこともあり、平成17年4月に現在の中部クリーンシステムを立ち上げ、それと同時に私が代表取締役に就任しました。当時の産廃事業者の社会的イメージは良いとはいえず、時代にマッチした産廃処理の在り方など、解決しなければならない問題点が多々ありました。元々、食品工場との取引が多かったため、私が代表取締役に就任してから、特に食品に関わる産業廃棄物の処理業務を根底から見直すことにしたのです。

 

 産業廃棄物の循環型社会を目指す

 

 本紙 具体的には、どのような問題点があったのですか?

 佐藤 産業廃棄物処理業者による不法投棄や不適正処理、廃棄食品の横流しが発覚するなど、産廃事業者の社会的信用を失墜させる事件が多発したことにより、一層コンプライアンスの重要性が浮き彫りになりました。このような事件を機に、どのように改善すれば社会的信頼を得られるのか、排出元企業に安心を提供できるのかを考えたとき、まず、①全工場に防犯カメラを設置し24時間365日、人や廃棄物の出入りを本社にて一括管理②委託された食品廃棄物の荷受けから荷下ろし・保管・処理工程などを撮影し、処理報告書として提出③委託された廃棄物の全処理工程を立会処理④廃棄物処理業者のイメージを変えるため収集車のデザインを変えるとともに、処理工場の外壁を赤色と青色の弊社イメージカラーで統一しました。一方、要となる廃棄物の処理業務については、廃棄ゼロとは廃棄物を新たなエネルギーに転換し循環させる「廃棄物の循環型社会」を目指すことで、これまでの産廃事業者のイメージを刷新することにしました。私どもが菓子・乳製品・冷凍食品などのメーカーが出す食品廃棄物の処理に重点を置いているのも、そのような理由からです。~食品廃棄物が地球に豊かさを与える新しい循環型社会~これが私ども中部クリーンシステムに課せられた使命であると思い、積極的に取り組んでいます。

 本紙 廃棄物の循環が御社コンセプトの「廃棄ゼロ」に繋がるのですね?

 佐藤 そうです。食品廃棄物や有機性廃棄物を単に廃棄する時代から再利用する時代に移り変わりました。例えば、食品や飲料は家畜用の飼料や農作物用の肥料として、包装容器やプラスチック類は固形燃料や発電燃料として、ペットボトルやスチール缶・アルミ缶についても再資源化することで新たな循環を生み出し、地球環境への負担を軽減することができるのです。つまり、ゴミを新たな資源に循環させることが「未来のために 廃棄ゼロの世界へ」という理論に繋がるのです。

 

 

デザイン化された10t廃棄物運搬車

 

 大手菓子・食品メーカーなどと取引き

 

 本紙 御社の産業廃棄物収集運搬エリアや取引状況を教えてください。

 佐藤 現在は、埼玉県、長野県、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県、富山県、滋賀県、和歌山県、京都府、大阪府、兵庫県の12府県から産業廃棄物に関わる収集運搬の認可を得ています。取引先としては、大手菓子メーカーをはじめ、飲料メーカー及び総合食品メーカーのほか、大手食品量販店などにご利用いただいています。菓子類、飲料、乳製品、冷凍食品、缶詰等の賞味期限切れ製品、試作製品など、これまでゴミとして廃棄されていた混合廃棄物を回収運搬し、弊社のリサイクルセンターで破砕・選別処理した後に新たな資源に循環させています。廃棄物を可能な限り再利用することが私ども中部クリーンシステムにおけるSDGsの取り組みです。

(次号へ続く)