トップインタビュー 太陽誘電ケミカルテクノロジー代表取締役社長 石黒利昭氏(後編)

製造現場での課題解消に自信あり!

 世界的な電子部品メーカー、太陽誘電の子会社である太陽誘電ケミカルテクノロジー(株)が開発した『JCコート』(機能性表面処理膜)。後編は『JCコート』の性能を詳細に掘り下げながら、今後の販売施策なども含めた同社の抱負をきいた。(後編)。

汚れず くっつかない

メンテナンスにも効果

 

 本紙 米菓業界で導入が進んでいる『JCコート』ですが、今後、他方面への広がりが期待されますね。

 石黒 お菓子も含め、3年ほど前から食品業界に向けて営業活動を進めています。お菓子に関しては、特に新潟を中心とした米菓メーカーで採用されました。残念ながら、米菓以外のジャンルでは、認知度は低い状況です。裏を返せば、販路拡大の余地がたくさん残っているということなので、今後は営業力をもっと強化したいと考えています。

 本紙 新しい販路としては、どの分野に期待を寄せていますか?

 石黒 食品業界すべて…と言いたいところですが、お菓子ですとポテトチップスなどスナック菓子のメーカーです。『JCコート』は用途に応じて4つの種類があり、中でも『JCコートP』はシリーズ中、最も撥水撥油性に優れています。特にここまで撥油性に優れたコーティングは他には無いので、食用油を大量に使うスナック菓子などのジャンルでは、防汚性・洗浄性といった課題に対して、弊社の『JCコートP』がお役に立てると考えています。

 

 

 省力化・省人化を実現

 

 本紙 製造現場での利点は何ですか?

 石黒 とにかく汚れが付きにくいのです。搬送ラインや計量装置、攪拌翼、シャフト、型抜き、スライサー、さらには梱包用テープカット刃などに『JCコート』をコーティングすれば、作業効率が飛躍的に上がります。機器の洗浄も簡単に汚れが落ち、メンテナンスの時間短縮に効果を発揮しますので、その分、生産効率が上がるのです。

 本紙 菓子業界の課題も合わせて軽減できるということですね?

 石黒 製造現場での労働生産性の向上は、企業にとって大きなテーマの一つです。ましてや食品業界は、衛生面に対して特段の神経を遣わなければなりません。『JCコート』は、製造現場での省力化と省人化、衛生管理面で大きく貢献できることは間違いありません。これらは、食品ロスの低減にも繋がると考えています。

 本紙 まさに良いことずくめの製品ですね。

 石黒 『JCコート』の膜は「ダイヤモンド・ライク・カーボン」(DLC)といって、食品衛生上極めて安全なものです。DLCコーティングは医療の分野でも広く使われているコーティング技術で、食品製造工程でも安心して使用することが出来るのが特徴です。

 本紙 『JCコート』を導入した場合のコスト面は?

 石黒 『JCコート』は目に見える物体と違うので、コスト面での実感は湧きにくいかも知れません。ですが、実際に『JCコート』を導入しているメーカーでは「これはお得だ」ということを実感されています。前述のとおり、製造現場での省力化や省人化などのメリットを多角的に考察すれば、『JCコート』が期待に応えるだけの能力を有した製品、つまり費用対効果のある製品だと評価されています。

 本紙 最後にもう一度、『JCコート』の魅力をお話しください。

 石黒 『JCコート』は、電子部品メーカーとして長年培ってきた弊社の技術の結晶といえます。商品化するまで数えきれないほど実験を積み重ねました。特に、食品製造工程でよく使われるフィーダー(自動で振動させて食品具材を高速で供給する装置)の具材付着やメンテナンス上の課題を解消するには絶対の自信があります。電子部品とは分野が違いますが『JCコート』が菓子業界をはじめ食品業界全体のお役に立てるのであれば、これほど嬉しいことはありません。多くの食品業界の方々に弊社の『JCコート』の魅力を知っていただきたいと願っています。

(完)