トップが語る! 岩塚製菓グループの「第2創業」

「BEIKA」をめぐる挑戦

岩塚製菓株式会社代表取締役社長 槇 春夫 氏

 岩塚製菓(新潟県長岡市)はこの春、「第2創業」への一歩を踏み出した。本社を創業の地に移転し、「BEIKA Lab」と「長岡工場」の新2工場が本格稼働を開始。“「お米」の美味しさ創造企業”はどこへ向かうのか? 槇 春夫社長に聞いた。

主力・沢下条工場正面からその最深部に新設した「BEIKA Lab」を望む

世界へ「BEIKA」を

 

 本誌 貴社は、昨年から今年にかけて新たな生産拠点を建造し、3月1日付で本社を創業の地へ移転しました。これらの「第2創業」とも言えるビッグプロジェクトによって、どのような未来を展望しているのかをお聞きします。

 槇 春夫社長(以下「槇」) 今年は、第67期(2018年)から進行している中期経営計画「プライド・BEIKAプラン」の最終年度にあたる。本計画には、「米菓」から「BEIKA」へ、というサブタイトルを付けている。岩塚ブランドの国産米100%で作った『米菓』を今までの枠に捉われない『BEIKA』へと昇華させ、国内米菓売場を革新し、日本独自の伝統的食文化として世界へ広める−−そんな想いを込めた。

 「世界中のお客様に岩塚の美味しさの笑顔を届けよう!」をスローガンに掲げる本プランの成長戦略は、次の3本柱で構成している。1本目の柱は、「国産米100%の米菓売場拡大」。あられ・おかきを中心とした品揃えによってシェアの拡大を図る。2本目の柱は、「BEIKA Lab(ベイカラボ)の設立」。おいしさと新ジャンルへの挑戦を新工場で実施する。そして3本目の柱は、「BEIKAを世界へ」。旺旺企業集団(ワンワングループ)との連携強化、IWATSUKA USA Inc.の本格稼働により、海外事業を拡充させるものだ。

 重要なことは、「BEIKA」が「日本の文化から発祥したお菓子」であること。これまで当社はパッケージに「国産米100%」ロゴを入れてきたが、「BEIKA」を世界へ発信することを意識し、今春からロゴを「日本のお米100%」に変更した。

 今日、日本酒は海外では「ライスワイン」と呼ばれて人気を博しているが、世界で花開いたのは「日本のお米から造ったお酒」であると認知されたことが大きい。そのような海外の捉え方を「BEIKA」でも大事にしたい。「原料はどこのお米でもいい」となれば、既存の「ライスクラッカー」と同列になってしまう。米菓を世界へ広めるには「BEIKA」でなくてはならない、と考えている。

製品パッケージの新ロゴ。「国産米100%使用」から

「日本のお米100%」に変えた

「R&D.Mセンター」は今年3月から本社に


BEIKA Labと長岡工場を新設

 

 −−「BEIKA」の研究・開発の拠点となるのが、このたび新設した「BEIKA Lab」ですね。

 槇 「BEIKA」を当社なりに追求するため「BEIKA Lab」を新設した。今年2月には「BEIKA」の発信起点とすべく開発部隊を移した。新機軸の製品、これまでにない新しいものを創るのは大変難しい。実際に機械を導入し、試行錯誤し、販売テストを繰り返さないと、新しいものはできない。だから次世代型の開発拠点が必要だった。

 −−海外向けの製品、例えば台湾の旺旺企業集団の製品も開発するのですか?

 槇 旺旺企業集団と当社は1983年に技術提携をしたが、旺旺企業集団は製品を独自開発している。ただ、米菓については毎年、10人前後の技術者が来日し、当社の開発部隊と一緒に泊まり込んで研修している。今年はコロナ禍で見送りとなったが……。彼ら技術者は「日本で新潟の米菓を勉強したい」と極めて熱心だ。

 −−熱烈なラブコールですね。

 槇 また、「BEIKA Lab」ではもち製品の開発に力を入れる。当社でいえば『田舎のおかき』が代表的なもち製品だが、米菓業界でいえば近年、うるち製品の比率が高まっており、もち製品が少なくなってきている。その時流に当社は抗っていく。お客様が美味しいもち製品を求めているからだ。が、もち製品はうるち製品と比べて製品となるまで日数がかかるためコスト高になる。手頃な価格で提供していくには、これまで以上に生産性を高めなくてはならない。

 「BEIKA Lab」では、工程を自動化したり、もちの品質を改良したり、生産性を高めるために様々なことを試みている。工場長はじめスタッフ皆でアイデアを出し合い、これまでの約7割の人員で24時間・365日フル稼働できる生産ラインを構築した。今年4月から本格稼働している…

(続きは2021年春季特別号22頁へ)

BEIKA Lab(9,053.13㎡)

長岡工場(5,234.03㎡)

 

 

 

今年3月発売の『バンザイ山椒』。最初はCVS限定品だったが、ユニークなパッケージデザインがSNSで大きな話題となり、一般商品化へ


 

 

写真左 岩塚製菓「特命コラボアドバイザー」の西山茉希(にしやままき、モデル・タレント、左)さんと槇社長


 

 

『バタしょっと』は、東日本大震災被災者への支援活動として、南相馬市の大甕(おおみか)小学校の17名と太田小学校の15名とともに開発。今年、製品開発に関わった子供たちが成人式を迎えた


岩塚製菓の最新ラインナップ。「米菓」から「BEIKA」へ。主力の

カテゴリーをアップデートすべく、積極的に新製品開発を行っている