“With コロナ”特別企画 シリーズ問屋界はいま!② 前編

迫りくる2023年危機に備えよ!

商業組合首都圏お菓子ホールセラーズ理事長

小黒敏行 氏 (アイネットホールディングス社長)

 “Withコロナ”特別企画「シリーズ問屋界はいま!」の2回目は首都圏お菓子ホールセラーズ理事長の小黒敏行氏(アイネットHD社長)。小黒理事長は今回のコロナ騒動以前から菓子卸業界に迫りくる危機に警鐘を鳴らし続けてきた。その危機とは軽減税率制度の導入や請求書の完全電子化スタートなど一連の国の制度改革のことを指す。そしてその「改革」と称した荒波のピークは2年後にやってくる。2023年“クライシス”に業界はどう立ち向かえば良いのか。理事長にその処方箋をきいた。(前編)

 

コロナ禍で悔しい思いの2020年

 

 本紙 昨年を振り返るとどうなりますか。

 小黒 コロナの影響はいまさらながら、とてつもなく大きくて、首都圏お菓子ホールセラーズとしての活動はほとんど何もできなかった。賀礼会を開いたきり、その後は理事会も開けなかった。総会に至っては議決だけで終わってしまった。じつに由々しき事態。特に昨年は組合創設70年の記念すべき節目の年でもあっただけに、活動停滞はとても残念な思いだ。

 今年は何とか賀礼会を開く方向で調整してきたものの、昨年末に政府の「勝負の3週間」の結果によって、急遽中止へと追い込まれた。賀礼会は一年の幕開けであると同時に、会員が一堂に集い士気を上げる絶好の機会だ。コロナ禍にあっても「組合員の力を結集してこの『荒波』を乗り切り頑張っていこう」と力強く誓い合おうと思っていただけに、まさに出鼻を挫かれた思いだ。

 ――理事長に就任されてから3年目となります。いま思うことは?

 小黒 会員数の減少に尽きる。御社発行の1998年版「日本全国菓子問屋大名鑑」によると、当時首都圏にはお菓子の問屋が355社もあったが、現在はわずか32社しか残っていない。もちろんこの間、流通の事情が大きく変わり、旧態依然とした問屋・卸の役割は小さくなり、やむなく廃業や倒産に追い込まれたところも少なくない。また大手資本に吸収合併されて、結果的に会員数が減ってしまったということもあるだろう。ただ「それにしても」という忸怩たる思いはある。

 ただし、見方を変えれば、いま残っている問屋さんたちはある意味、淘汰に勝ち残った結果だと思っている。いわゆる「問屋受難の時代」にあっても、それぞれ独自の経営手法を持ち、個性的な強みを発揮しながら生き抜いている。いまのような厳しい時代にあっても、メーカーと小売のはざまに立ち、菓子問屋本来の役割である「売り場を創り、常に需要を盛り上げていく」プロデューサー的な力を発揮している。会員数については何とかこれ以上の減少は食い止めたいと思っているが、そうした会員の奮闘ぶりを見ると、じつに頼もしい限りだ…

(続きは5492号4面へ)

一連の制度改革は2023年にどっと迫りくる。まさにクライシスの到来だ(小黒理事長提供)

 

① 消費税率アップ

② 軽減税率制度導入

③ 働き方改革法の施行

④ 食品表示法の抜本改正、

⑤ 同一労働・同一賃金の施行

⑥ HACCP導入

⑦ 請求書の完全電子化

⑧ 軽減税率インボイス制度スタート

⑨ e-お菓子ねっと完全V2化によるシステム変更

⑩ RFIDタグの実装化による流通市場の劇的変化

⑪ デジタル庁設置