湖池屋 スナック100年への布石

時代は「ニューノーマルおやつ」だ!

朝・昼・夜に変わる〝第4の食”を声高らかに提言

 湖池屋は2020年11月25日、都内中央区、時事通信ホールで今後の事業戦略と熊本で建設中の「九州阿蘇工場」についての説明を柱とした「新戦略・新商品発表会」を開いた。またそれに先立つ20日に発表された日清食品の連結子会社化についても説明がなされた。発表会をリードした佐藤社長は持ち前のマーケターとしての魅力を存分に発揮、きめ細かなスナック菓子市場の分析により、湖池屋が進むべき新たな方向性を明確に示すとともにそれを「ニューノーマルおやつ」と表現した。会場には熊本県のくまモンも駆けつけた。

▲「ニューノーマルおやつ」宣言を果たした小池孝会長と佐藤章社長はスナック菓子業界、最強のツートップだ

コロナで再認識されるお菓子の精神的な価値

 

 発表会には小池孝会長と佐藤章社長が登壇。小池会長は「湖池屋のこれまでの歩みとこれからの『スナック100年』に向けて」と題した基調説明を行った。続いて佐藤社長が「新戦略」を披露した。コロナ禍は社会経済全体にさまざまな影響と大きな変化をもたらしたことから「湖池屋として新たな事業戦略の構築に迫られた」と説明、それを明確に描くべく同社マーケティング部を中心にきめ細かな市場調査を行った。

 佐藤社長は、コロナ禍でこれまでのビジネスモデルや価値観などに明らかな変化が生じてきており、特に「食の価値」については、ストレス軽減や癒しといった「精神的な価値」がいま強く再認識されていると強調。またテレワークの浸透や家族時間の増加、節約・健康志向とご褒美需要の高まり、デリバリー市場の新たな勃興などが重要なキーファクターになるとした。

 調査ではコロナ禍で購入の頻度が増えた食料品の第1位が「お菓子」であり、そのまた第1位が「スナック菓子」であることや若者に多い「朝食の食べ逃し」を補うために主食と間食の境界が曖昧な「シームレス化」が進み、いまや「一日6食生活」が一般化している変化を突き止めた。

 調査結果から湖池屋は「スナック菓子の食事の代替化」が進んでいると分析、コロナ禍での食生活の変化に対応した商品強化の必要性が高いとして、簡便かつ手軽で小腹満たしをコンセプトとする「本格的な料理系お菓子」の開発が欠かせないと判断、それを「ニューノーマルおやつ」と銘打って新戦略の肝とした…

    【続きは5485号42頁へ】

▲「ニューノーマルおやつ」を体現する『ポテトと料理』『ハッシュドポテト』は来春デビュー

▲「スナック人生100年時代へ。」は湖池屋の発する未来メッセージ

ファンに支えられ続けて60年余…。 「湖池屋物語」新ステージ

クレームが生みの親 ポテトチップス由来

 

 いまや日本人にとっては国民的なスナック菓子となったポテトチップスは、1853年にジョージ・クラムという米国人コックの手によって偶然に生まれたものといわれている。同国の上流階級が集まるニューヨーク州サラトガ・スプリングスにあるホテルで、宿泊客のフライドポテトを提供していたところ、あるお客から、「フライドポテトがあまりにも厚すぎる」というクレームが…。

 自慢の料理にケチをつけられたクラム氏は「ならば吾輩の料理の腕のほどをみせてやろう!」とジャガイモを極限までに薄くスライス。それを食用油で揚げて、そのクレーム客に出した。するとこれが大好評。美味しさの評判はたちまちに広まり、クラム氏は独立して世界初の「ポテトチップス屋」を作った。ポテトチップスはクレームから生まれたのだ…  

 【続きは5485号44頁へ】

創業者 小池和夫

すべてはここから始まった。

1967年の初代のり塩


熊本・益城町「復興」のシンボルへ

九州・阿蘇に念願の生産拠点を確保!

▲湖池屋念願の九州での生産拠点となる阿蘇工場。ポテトチップス系商品をここで生産する。予定通りにいけば今年の7月に本格稼働する。熊本地震で甚大な被害を受けた益城町にとっては復興のシンボルになる(写真はイメージ図)

相思相愛でとんとん拍子で計画まとまる

 

 湖池屋はライフスタイルの多様化に対応した新市場創造型商品を提供するとともに、より高品質で安全な商品を安定的に全国に提供するために、この1月に関東第三工場(埼玉県加須市)、7月(予定)に九州阿蘇工場(熊本県益城町)を開業する。

 湖池屋にはいま、関東工場、関東第二工場、京都工場、シレラ富良野工場というように、同社の商品を生産する拠点を全国の4カ所に抱えているが、これまで九州には工場はなかった。九州は北海道に次ぐジャガイモの生産地であることから、以前から「九州での生産拠点」の確保は悲願でもあった。湖池屋の願いである「お客さまの近くで生産されたものをできるだけ早くお客様のもとにお届けしたい…」。そして、その願いは思いがけない形で叶うことになる。

 2016年に発生した熊本地震(最大震度7)は同県と大分県を中心に甚大な被害をもたらしたが、中でも熊本・益城町は壊滅的被害を受けた。復興を願う熊本県。地元の人々が元気を取り戻す起爆剤が欲しい…。その頃、益城町にあったとある企業の工場施設などが移転。その跡地の活用が「復興のシンボル」としてにわかに持ち上がったのだ。

 やがてその情報が湖池屋に伝わる。あとはとんとん拍子だ。九州進出をもくろむ湖池屋。復興を願う熊本県。相思相愛の関係で湖池屋の新工場プロジェクトがスタートした。湖池屋はその意義を次のように話す。

 「九州阿蘇工場の所在地、益城町は熊本地震で被害のあった地域になります。新工場を稼働させることにより、地元の雇用を生み出し、そこで商品を生産していくことで地域の復興や活性化にもつなげていきたいと考えています。今年7月から、新工場の開業を起点として地域の方々を巻き込みながら、原料や新商品開発にも取り組み、熊本をはじめ、九州の皆さまを笑顔にするさまざまな取り組みを展開していきたいと考えています」…

【続きは5485号45頁へ】

湖池屋の〝フレッシュ〟が 西日本の人びとに近づく

▲九州は北海道に次ぐジャガイモの生産地。ここから湖池屋の美味しいポテトチップスが作られる