アイスクリームセミナー、食品衛生法改正とカゴメのマーケティング

 (一社)日本アイスクリーム協会は9月25日、内幸町ホール(都内千代田区)において、ソーシャルディスタンスを保って定員の約半数で、「第46回アイスクリームセミナー」を開催した。

 同協会・丸山勝之専務理事の司会進行で、はじめに「食品衛生をめぐる最近の動向(食品衛生法の改正について)」と題し、厚生労働省 医薬・生活衛生局 食品監視安全課の小島三奈課長補佐が講演。食品衛生法の改正の概要7項目のうち、〝HACCPに沿った衛生管理の制度化と営業許可制度の見直し〟と〝営業届の創設について〟の2項目の説明をした。

 「HACCPによる衛生管理」とは、事業者自らが、食中毒菌汚染等の危害要因をあらかじめ把握(Hazard Analysis)した上で、原材料入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるために特に重要な工程(Critical Control Point)を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法で、今年6月1日に施行(1年間の経過措置期間あり)した。営業者は、衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底を図り、必要に応じて手順書を作成する。さらに衛生管理の実施状況を記録し、保存する。効果は定期的に検証し、必要に応じて内容を見直す。

 「営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設」では、営業許可の対象となっていない業種を営む営業者は、管轄の保健所へ届出者の氏名、施設の所在地、営業の形態、主として取扱う食品等に関する情報、食品衛生責任者の氏名を届出する必要がある。アイスクリーム製造業者は特に変更がない。

 次に、カゴメ・宮地雅典マーケティング本部長が「カゴメのマーケティング戦略~社会課題の解決に向けたカゴメの取組~」と題して講演した。

 1899(明治32)年、創業者・蟹江一太郎氏が愛知県東海市荒尾町でトマトソースの製造を開始。1908(明治41)年、トマトケチャップ発売。

1917(大正6)年、前身の愛知トマトソース製造合資会社が「カゴメ印」として商標登録をし、アメリカに遅れることわずか2年後の1933(昭和8)年、トマトジュースを商品化。1963(昭和38)年、社名をカゴメ㈱に改称した。以来、カゴメの〝ものづくり〟の基本思想は、「よい商品=よい原料×よい技術」となり、自然が作り出す素材本来のおいしさや栄養を最大限に活用することとなる。

 カゴメの長期ビジョンは〝10年後のカゴメ像〟として、「食を通じて社会問題(健康寿命の延伸、食糧問題、地方創生・農業復興)の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」。

 2016年10月、地域農産物を販売するブランド「農園応援」をスタートし、地域生産者と消費者とをつなぐことで、地域農業の活性化や関係人口の拡大に貢献する。

 マーケティングの4つの方法論(ダイレクト、マス、ソーシャル、エリア)の中から、エリアマーケティングに注目。2012年2月8日、広島県との「瀬戸内レモン協定」をはじめ、「地産全消」の実現により、地域社会の共生」による「地域経済の活性化」に結びつける可能性を見出す(17府県5市1町1団体と27協定を締結)。

 健康寿命の延伸としては、日本人の一日の野菜摂取量は目標値350gに対し、平均約290gで60gの不足。野菜不足の自覚や必要性・必要量の認識もない方へ「野菜をとろう あと60gキャンペーン」を実施する。