『黄金シリーズ』もち2品にスポット 岩塚製菓 【前編】

久しぶりに良いモノができたね!

10年のブランク「揚げもち」の投入

 「米・技・心」とは、岩塚製菓の創業以来のスピリットを表すキーワードである。創業者の平石金次郎と槇計作が常々「原料以上の製品はできないのだから、できる限り良い原料を使う」と語り続けた、同社の品質主義の原点だ。新潟大手メーカーの中で、強く国産米100%使用にこだわるのも、その一環といえる。

 この3月9日に発売された『黄金(こがね)シリーズ』(参考小売価格240円前後)は、揚げもち2品(写真上、塩味とはちみつ醤油味)とあられ1品(香ばし醤油味)で構成されている。今春の製品カタログのTOPに掲げ「米よりおいしく 米を味わう」と見出しを掲げた自信作である。

 シリーズの揚げもち、殊に『塩味』は、まさしく黄金色の細い短冊で、その軽やかな食感とともに、口内に広がるもち米の風味に打たれる。

 「近年の難しいマーケットのなかで、弊社はいろいろな新製品を投入してきたが、厳しい戦いが続いていた。今回のシリーズでは、開発でも相当に力を入れ、満を持した製品ができた」と語るのは、マーケティング部営業企画課の中静幸徳課長である。米菓界ではうるち米製品が優勢だ。『黄金シリーズ』は、原料米が高く、品薄感のあるもちジャンルを狙った高品質の戦略商品である。

 低価格と早い改廃が続く市場では、定番に定着する製品が育ちにくい。近年の小売り店頭では、ごく短期間の、いわゆる“ひと撒き”の製品が多くなっているのが現状。米菓界でも実績のあるNB製品が、催事やコラボ、季節訴求で、装いや味変えを「新商品」として店頭に並べ、近年、消費意欲を刺激してきた。

 だが、こうした施策も長く続いては「消費も鈍化している」との声も一部では囁かれている。短期間の改廃を続けていれば、やがてメーカーも疲弊し、マンネリに陥ってゆくのも必定だ。

 『黄金シリーズ』は、メーカー岩塚の力量を消費者に問う製品と言ってよいだろう。国産水稲もち米100%使用、かつ化学調味料不使用のシンプルでストレートな製品だ。まさしく「米よりおいしく」食べてもらうために「米」と「技」と「心」を傾注。米菓本来の魅力である米の香りや甘み、そして旨みを感じてもらうという仕上げを目指してできた製品である。

 ことに揚げもちでは、ほとんど油分を感じさせず、軽く、とろけるような口どけが際立つ。その上品な製品特性は、商談段階で高い評価を受け、また、店頭での動きも好調だとのこと。

 「これができた時“久しぶりに良いモノができたねと、社内でも話題になった。従来の常識では『黄金』のユニットなら、280円から300円あたりの価格帯になるクオリティ」と、同課長。

 岩塚の平均的なNBのプライスラインは220円。『黄金』は、その「少し上」と「手に取りやすい価格」という狭間で、試行錯誤を重ねて誕生した製品である。現在のマーケットでは、240円という価格に高過ぎないか?”と危惧する声もあったらしい。

 同社の揚げもちは、生協の共同購入ルートやPBでは高い評価を受け、一定のシェアを持っている。しかしNBでは、ここ10年ほど空白のジャンルだった。焼きの『田舎のおかき』というブランドを持つ同社にとって、今回の『黄金シリーズ』は、その空隙を埋める製品であり、低価格マーケットで、高品質で差別化を図ろうという意図で企画された。出来上がった『黄金シリーズ』は、揚げもちは個包装14本、焼きは76g(4分包)という内容量になった。

 「デザインにも高品質感をということで、個装紙やパッケージに金色を使用。営業も品質を意識し、大切に売っていこうと力が入っている」と、胸を張った。

(続く)

 【予告】

(後編)加工度の高さをしっかり伝えたい!