新生!三幸製菓 代表取締役CEO 佐藤元保 氏

特別インタビュー 三幸製菓株式会社 CEO 佐藤元保 氏


 今春4月1日、製造会社の三幸が販売会社の三幸製菓を吸収し、改めて三幸製菓㈱としてスタートを切った。昭和38(1963)年、新潟市東郊外の新崎に、創業者の佐藤富一郎氏(現名誉会長)が第一工場で操業を開始して今年で57年。新生三幸製菓のCEOに就任した佐藤元保氏に、合併の意図や新会社の成長ビジョンを聞いた。

新生三幸製菓のCEOに就任した佐藤元保氏

2社統合の意義とメリット

 本紙 創業以来の製造、販売の2社体制を改め、新生三幸製菓がスタートしました。経営トップの佐藤元保CEOに、その意図を伺います。

 佐藤元保 昨年4月から体制が変わり、早くも1年が経ちましたが、ふたつの会社に分かれていることのメリットよりデメリット、むしろ不具合の部分が、近年は大きくなってきた、と感じていたのです。

 ――具体的には?

 佐藤 いろいろあるのですが、経理財務面一つとっても、ふたつの会社がそれぞれやってきた。2倍の労力を使っていたわけですね。また、笑い話のようなことですが、私が名刺を出しますと「アレ?三幸製菓さんじゃ無いのですか」となる(笑)。それはともかくとしても、社員さんですね。従業員数では製造の方が多い。便宜上、通りのよい三幸製菓で募集を行ってきていたので。採用後、本人は三幸製菓で働いていると思っていたら「アレ?三幸?」となる方が多かったのです。これは具合が悪いですね(笑)

 ――製品を見て貴社を認識している一般の方にとっては、三幸製菓ですから、そういうことも起こるわけですね。

 佐藤 新体制で改革したい旧弊のひとつは、会社が分かれていることで、縦割りの弊害も大きくなっていた点です。利益を作るのは製造、売上を作るのが販社の営業だ、との意識は弊社では昔から強かった。それぞれの立場で使命を全うするという点では、それはそれで良いことですが、近年は小売業などお客様からの要求の高まりもあって、「売上至上主義」というか、売上=数字を作ることに集中する弊害も出てきた。製造部門も営業部門も横串を通して、利益も売上も共通の価値観で主体的に考え、行動できる組織にして参りたいと思います…

 

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三幸製菓の本社「パレット」

(新潟市北区新崎)

 

新発田工場(60,986㎡)

 

荒川工場(77,829㎡)

新会社が目指す新たな成長戦略

 ――製造と販売の両輪が連携し、一体感を持って進歩していく体制がスタートしました。貴社の今後の成長戦略をどう描いていますか?

 佐藤 製造現場ではこの1年、工場の稼働率をアップさせる改革に注力してきました。とにかく売りに製造が追いつかない状態が続いてきましたから。要点は従業員に負担がかからないようにしながら、効率的に製造を進めることです。今後は、そこをさらに拍車をかけていきたいですね。

 ――昨秋に竣工した年間百億円の製造キャパを持つ生地工場(新発田工場=新年号既報)が完成したのは、改革の第一歩だったのですね。

 佐藤 新工場の稼働でどうにか形になってきたというところです。さらに今、新たに工場を作る準備に入っていて、来年の夏を目途に竣工、稼働を目指します。新発田工業団地の最後のプロジェクトで、過去最大規模の工場になる予定です。

 ――敷地的では最大の荒川工場内ではないのですね。

 佐藤 荒川の一帯は過疎化が進み人手不足がネックです。そこを大きく動かすには、外国人労働者の導入などが必要で、いろいろ考えてきたのですが、現行の制度がうまく回っていない上に、今のコロナショックの影響もあって、目下ペンディングしています。逆に、今後暫くは景気も悪くなりそうなので、日本人の労働資源確保のチャンスと捉えていますよ…

 

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三幸製菓のチャレンジ

※若年需要を狙うコンセプト製品

時代に合わせた「良品廉価」の在り方

 佐藤 米菓カテゴリーの特徴として、昔からボリュームがあって安い、というイメージを引きずっている。高度成長期から、今は大きく時代は転換していますね。弊社の「良品廉価」も今のニーズの変化を勘案して、ブランド力を上げながら、現代にふさわしい形で、お客様の手に届けたい。そうしたメーカーの使命を果たすための新体制です。今では「良品」は当たり前で、品質、パッケージ、内容量を見直していくのも今後の施策だと感じています。

 ――営業戦略や体制の改革はどうでしょうか。

 佐藤 昨年の秋から国内を東と西で統括する体制にし、組織の効率化を図るために各地の営業エリアの括りも組み換えました。販売の在り方では、そう大きな変化はないものの、ブランド力を高め、製品の「商品価値」、三幸の「この製品だから」と指名買いをして頂けるようにしたいと思っています…

 

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