井桁堂創業者で現会長の服部幸三氏へのインタビュー。最終回は服部会長の辿った「お菓子人生」を振り返りながら、今後の井桁堂が進むべき未来の方向性、さらには会長ご自身の長年の夢である「お菓子王国・名古屋」復活の拠点となる「愛知県銘菓会」構想についてきく。
ロマンなくして経営なし
本紙 これまでのお話で感じるのは服部会長の「ロマン」です。
服部 人間は何のために頑張るのか。その命題に対する経営者としての私の回答は常に決まっている。つまりビジネスの最終目的は決して「金儲け」ではないと。それが生き甲斐だとしたら、その人の人生などはたかが知れたものだ。経営者としていつも真っ先に考える「社員の幸せ」は、私の人生哲学の発露でもある。お客さまよりも社員の方の優先順位が高い。ウチらしい特徴だ(笑)。
――かつて愛知・名古屋は「お菓子の王国」とも言われてきましたが、会長は復活の可能性はあるとお考えですか?
服部 そのための布石として、じつはいま「愛知県銘菓会」を立ち上げようと考えている。焼菓子や半生菓子、キャンデーなどジャンルは違っても「文化的な香りが高く物語性にあふれた仲間」を募っているところだ。最終的には20社ほどを集め、対外的な発信力やパワーを強めたい…
【続きは5456号5面へ】
写真・昨年の「井桁会」では三代そろい踏み。会長(前列右から3番目)の左が剛士社長。右がお孫さんの元紀氏
服部幸三〈はっとり・こうぞう〉
1944年岐阜県生まれ。生家は社名の由来となる有松紋の老舗『井桁屋』。74年に和菓子問屋ハートリー設立。86年に井桁堂を立ち上げメーカーへと進出。中国の格言「文房清玩」(書斎で客人と一緒に愛用品の文具を愛でる)が理想のライフスタイル。海外旅行が趣味で、これまで58か国を訪問。昨秋、念願のシルクロード行きをご夫人とともに果たした。