「新・製品開発」のコンセプト 明治

『オリゴスマート』

 明治は2019年2月、糖から健康を考えたチョコレート『オリゴスマートミルクチョコレート』を発売。賢くスマートに糖分を摂取してお菓子を楽しめる製品として、好調なスタートを切った。9月にはブランド第2弾『オリゴスマートやさしいバニラ』が登場。チョコレートの次はアイスと、カテゴリーを超えた広がりを見せている。今後の展開が興味深い同ブランドの開発経緯と展望に迫る。

フラクトオリゴ糖が鍵となる

 

 チョコレートはカカオ・砂糖・ミルクの三大原材料から成り立っている。同社の『チョコレート効果』は、カカオのポリフェノールに注目し、健康価値の研究開発を進めている。

 「おかげ様で健康志向チョコレートの市場の中では今非常に伸びているが、チョコレート全体の市場を見ると、実は一番大きい市場がミルクチョコレート。高カカオというアプローチとは別に、ミルクチョコレートで健康が提供できるものをと、糖に焦点を当てた」と開発本部・カカオ開発部の森永寛氏(写真右)はブランド立ち上げの経緯を語った。同社が実施した「チョコレートに対する消費者意識調査」(2017年9月、n=2272、ネット調査)では、回答者の約7割がチョコレートを食べ過ぎないように制限しているとの結果。主な理由は「糖質、糖分を摂りすぎそう」「カロリーを摂りすぎそう」「血糖値が上がりそう」等、糖を気にする答えが多かった。

 チョコレートに対して、糖分摂取の過多を心配する消費者。そのネガティブなイメージを払拭するにはどうすればよいか。鍵は、同社が1979年に研究開発を始め、1984年に発売、1993年に日本初の特定保健用食品として認可された『メイオリゴ』(市販品としては終売済み)にあった。すなわち、フラクトオリゴ糖だ。砂糖に近い味わいなのに、控えめな甘さで、カロリーは砂糖の半分。難消化性のオリゴ糖で、糖として吸収されないのが特徴だ。ミルクチョコレートに使用する砂糖の一部をフラクトオリゴ糖に置き換えることで、糖分を減らしたいとのニーズに応えることができる。

 健康を考えたからと言って、チョコレートとしておいしくなければ意味がない。製品化する上で困難だったのは、砂糖より吸湿性が高いため、含有量が多いと粘り気が出て口どけが悪くなること。チョコレートならではの食感が味わえるよう、独自の開発力で克服した。味においても、カカオマスの香りを強くしたり、粉乳の量を少し増やして、ミルクチョコレートらしい味わいを作り上げた。

 「甘いと感じることに罪悪感を覚える人も多いが、単に摂らなければ良いのではなく、適度に摂ることが美味しさの面でも重要。全部ではなく、砂糖の半分程度をフラクトオリゴ糖に置き換え、甘さにおいても良いバランスになった。チョコレートは嗜好品なので、買おうとして選ぶ際に『砂糖オフ』が目立つと美味しくなさそうな印象となる。だから砂糖50%以上オフだが、パッケージにはあえて記載していない」とマーケティング本部・カカオマーケティング部・カカオグループの大髙健太郎氏(写真左)…  

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