『森永ミルクチョコレート』発売100周年記念 ジャパニーズチョコレートの1世紀

第1部「インタビュー篇」(2) 「ひとり時間の贅沢」と「夏でも溶けない」

 

本紙 前回は『ダース』を中心にお話をうかがいました。その発売10年後に登場したのが、『カレ・ド・ショコラ』(2003年)ですね。

土屋 「ひとり時間の贅沢チョコレート」というコンセプトで開発しました。同様のコンセプトを持つブランドは、国内では『ハイクラウンチョコレート』が最初だと思います。『ハイクラウンチョコレート』初期のCMには女性がキスをするシーンがあり、それが非常にセンセーショナルを起こしたそうです。プロモーションも含めて大人向けのチョコレートでした。当時、子供向けのチョコレートが主流だったことを考えると、非常に画期的だったのではないでしょうか。

佐橋 今日では、大人も普通にチョコレートを食べるようになっています。『ハイクラウンチョコレート』登場から半世紀が過ぎ、シニア世代の人々もチョコレートを日常的に食べるようになりました。先輩方が長い時間をかけて築いてきた土壌があったからこそ、『カレ・ド・ショコラ』はマーケットに受け入れられ、パワーブランドとして成長できたと考えています。

土屋 『カレ・ド・ショコラ』は、特に「主婦層」をターゲットに開発しました。開発当時、専業主婦の割合が多く、家庭内で家事・育児に追われる女性が多かった。そんな彼女たちがちょっとした空き時間に高品質なチョコレートを食べて幸福感を得る、そんな食シーンを想定したのです… 【続きは5379号5面へ】