『森永ミルクチョコレート』発売100周年記念「ジャパニーズチョコレートの1世紀」

 原料カカオ豆からの一貫製造、現代風に言えば「Bean to Bar」による、「国産チョコレート=ジャパニーズチョコレート第1号」は1918(大正7)年10月に誕生した。それが『森永ミルクチョコレート』である。
 日本の流通菓子のパイオニア・森永製菓は、創業当初からチョコレート製品を製造販売していた。すべて輸入ビターチョコレートを原料に加工したものだった。原料カカオ豆からの一貫製造には、近代的な機械設備と高度な技術が必要となる。だが当時、それらを導入するだけの資力と技術者を備える西洋菓子メーカーは国内になかった。
 米国のチョコレート工業の発展とチョコレート消費量の多さを目の当たりにした森永太一郎氏は1918(大正7)年2月、原料カカオ豆からの一貫製造ラインの建設に着手した。最新鋭の製造機械を海外から取り寄せ、チョコレート製造技師を米国から招聘した。森永太一郎氏の果断がジャパニーズチョコレートの端緒となった。
100年後の今日、チョコレート製品の国内生産量は3億7908万2252㎏(2017年、日本チョコレート・ココア協会調べ)に上る。ジャパニーズチョコレートは、まさに隆盛を極めている。
 弊紙は、『森永ミルクチョコレート』発売100周年を記念し、「ジャパニーズチョコレートの1世紀」の連載をスタートする。温故知新。歴史資料や関係者へのインタビューを基に、「森永のチョコレート」ひいては国内のチョコレート業界の歩んできた道をたどり、未来への一歩としたい。