菓子卸MD特集 アイネットホールディングス

商品バランスで差別化を図る

 

 グループブランド会社6社(アイネット、おいしさ発信工房、味の花壇、東京カレン、京都かれん、テレサ)を擁する有力菓子専業問屋アイネットHDでは、コロナ禍などによるリアル店舗の客数減少と消費者ニーズの対応策として、価格に見合った利益の取れる商材の発掘と商品の開発を主軸とする“価値を伝えるための売場提案を推進している。

 売場への対応については、取引先(メーカー・小売業)においてもあらゆるコストが上昇する中で、「商品の企画・提案が難しい状況にある」としているが、売場での「NB、卸PB、小売留型のバランス」と「他社卸との差別化」の2点を重要視する。

 また、自社PB商品の企画・販売を行っている幅広い業態の取引先(小売業)に対しては、「定番の卸PBや得意先専用留型商品の割合を引き上げることで他社との差別化を図り、そこに優位性を見出す必要がある」としている。アイネットの優位性のひとつは、自社製造工場とパッカー工場の存在である。「得意先専用留型商品の供給や小回りの利いた得意先への対応が他社との差別化に繋がる」と、製造・販売が両立できる企業環境にあることで可能だとしている。

 一方、メーカーとの関係は、「昨年末以降、値上・減量・入数変更・配送ロットの見直しなど、様々な要求が寄せられている。基本的には受けているものの、一部リードタイムの短いものは交渉する」としており、コロナ禍に加え、円安、物価高に苦悩する業界の実態が浮き彫りとなっている。

 年末年始に向けた商品提案としては、既存商品をボリュームアップした大袋の商品企画や販促提案の強化による売場での売上単価の向上を図るとともに、行動制限緩和で見込まれる旅行客に向けた帰省手土産などの商品企画に注力する構え。

 推奨商品は、9月に発売した『のりバターつくね』と(写真上)『ふるーつおこし』(写真下、いずれも東京カレン)。「昔懐かしいけれど、どこか真新しい商品」をコンセプトに、定番の和菓子に洋フレーバーをミックスさせ、これまで味わったことのない新たな商品として登場した。