ドライフルーツの新たなカテゴリーを創出した南信州菓子工房が、第2工場の阿南工場に新たな浄化システムを完成。工場廃水の浄化と合わせ、高濃度の糖類をメタン発酵させて、工場エネルギーの一部を賄う。豊かな自然環境を守りながら、バイオマス燃料を製造する「地球にやさしい」循環型の新システムを拝見する。
地域環境と工場
南信州菓子工房が、阿南工場(下伊那郡阿南町富草)に、バイオマス燃料製造と、発生熱を利用する廃水浄化システムを今年1月に完成させた。
南信州菓子工房はこの事業を阿南町とともに取り組み、環境省の補助金(3分の2の助成)獲得に成功。その結果で、自然エネルギー資源の活用を推進する長野県の「1村1自然エネルギープロジェクト」にも登録された。この事業について、
「通常の浄化装置に比べ、3倍近い投資(2.5億円)です。弊社のようなお菓子製造では廃水に糖分が多い。阿南の地で、安心して製造を継続していきたい、と考えたことがそもそもの発端です」と、木下裕亮社長。
この浄化システム導入の説明会で、農家を中心とした住民から「蛍が棲める河川を守って」と強い要請を受けた。日本を代表する中山間地である長野県。本社のある阿智村は日本一の〝星空〟で有名だ。その南部の阿南町でも、自然環境は住民の誇り。水生昆虫や魚だけではない。この地域は農家が多い。河川の水は農業用水として使われるため、排水が地域に負荷を与えないことは、阿南工場の大前提でもあった…
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▲阿南工場にて木下裕亮社長(右)と大島亮品質管理部長
ホタルが棲む自然を守る! 南信州菓子工房の新・浄化システム
写真上 上空から見た阿南工場。東側(写真の左)の崖ふちの細長い敷地に、バイオマス燃料の製造を兼ねた新たな浄化装置ができた
写真左 廃水の糖類をメタン発酵させるEGSB反応塔(バイオインパクト塔)